第1四半期の世界のエクイティファイナンス、大型案件が下支え

(世界)

調査部国際経済課

2024年04月12日

米国の調査会社CBインサイツは4月4日、未公開企業へのエクイティファイナンス(注1)動向を報告するレポート「State of Venture」の2024年第1四半期(1~3月)分を公表した(State of Venture Q1’24 Report外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

同レポートによると、2024年第1四半期の世界のエクイティファイナンスによる資金調達額は前期〔2023年第4四半期(10~12月)〕比10.7%増の584億ドルだったが、資金調達件数は同6.5%減の6,238件にとどまった。前年同期比では資金調達額、件数ともに減少(それぞれ21.0%減、30.4%減)した。特に件数は2022年第2四半期(4~6月)から8期連続でマイナスを記録した。

資金調達件数が伸び悩む半面、10億ドル超の投資4件を含む複数の大型投資が資金調達額全体を支えた(添付資料表1参照)。最大案件は生成AI(人工知能)開発を手掛ける米国スタートアップ・アンスロピックに対する米国アマゾンの27億5,000万ドルの投資だった(2024年4月4日記事参照)。

資金調達を受けた企業の所在国・地域別にみると、米国が調達件数全体の39.0%(2,430件)を占め、最大だった。アジアが1,940件(同31.1%)、欧州が1,486件(同23.8%)と続いた。世界全体の資金調達件数の減少に対して、米国は前期比で1.3%増の微増となった。大型案件が集中した米国は、調達金額が342億ドルで、他国・地域を大きく引き離した(添付資料表2参照)。

日本企業による資金調達額をみると、2024年第1四半期は5億7,613万ドルで、前期比25.1%減だった。件数は317件で、前期比13.6%減。調達金額で最大となったのは、自動運転ソフトウエアの開発を手掛けるディープテックスタートアップ・ティアフォーに対するいすゞ自動車の約4,000万ドル(60億円)の投資だ。両社は3月6日、路線バス領域での自動運転システム開発に関する資本業務提携を発表した(注2)。

(注1)企業が新株を発行して、事業のための資金調達を行うこと。

(注2)ティアフォープレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますいすゞ自動車プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。

(宮島菫)

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