王商務部長、中国の過剰生産能力を否定、フランスで中国系EV関連企業と円卓会議

(中国、米国、フランス、EU)

北京発

2024年04月11日

中国商務部の王文涛部長は4月7日(現地時間)、フランスのパリで在欧州の中国系電気自動車(EV)関連企業と円卓会議を開催した。会議には吉利汽車、上海汽車、BYD、寧徳時代など約10社が参加した。

王部長は、中国のEV産業の急速な発展は持続的な技術イノベーションと、整備された産業チェーンサプライチェーン、市場競争によるもので、補助金に頼ったものではないとした。その上で、欧米による「過剰生産能力」との指摘は全く根拠のないものだとした。

また、中国のEV産業の発展はグローバルな気候変動対応とグリーントランスフォーメーションに重大な貢献をするものだとして、中国政府は企業が自身の合法的な権利を守ることを積極的に支援するとした。

企業側は欧州での投資・経営状況のほか、EUによる中国製EVに対する反補助金調査(2023年10月6日記事参照)の状況について説明した。

中国の過剰生産については米国などが問題視しており、2月に開催された米中経済ワーキンググループ(2024年2月9日記事参照)、4月に開催された米中商業問題ワーキンググループ(2024年4月8日記事参照)などでも取り上げられている。4月4~9日に中国を訪問したジャネット・イエレン米財務長官も、中国の過剰生産能力に懸念を示したとされる(2024年4月10日記事参照)。

これに対して、中国外交部は4月9日の記者会見で、生産能力が過剰か否かはグローバル市場の需要と将来の発展性からみる必要があり、需給のバランスは市場により調整されるべきだとした。その上で、生産能力などの経済・貿易問題を政治問題化・安全保障問題化することは経済のルールに背き、自国の産業だけでなく世界経済の安定した発展にも不利に働くとし、WTOの枠組みに基づいて意見の違いを処理すべきだとした。

中国はEUの反補助金調査については不満を表明するにとどめているが(2023年9月19日記事参照)、1月にEU産ブランデーに対するアンチダンピング調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開始している。王部長は8日(現地時間)にフランスのブランデー企業と座談会を行い、今回のアンチダンピング調査は中国国内企業の申請に基づいたもので、特定のEU加盟国を狙ったものではないと説明した。

(河野円洋)

(中国、米国、フランス、EU)

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