米オープンAIが日本法人を開設

(米国)

サンフランシスコ発

2024年04月19日

対話型人工知能(AI)の「ChatGPT」などの開発を手掛けるオープンAIは4月14日、アジア初の拠点として東京に「オープンAIジャパン」を開設したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。拠点開設により、日本政府、企業、研究機関と協力し、日本特有のニーズに対応する安全なAIの開発や新たな機会の創出を目指すとしている。オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は2023年4月、岸田文雄首相と面談し、日本拠点開設の意向を示していた。

オープンAIジャパンの社長には、アマゾン・ウェブ・サービス・ジャパン社長を務めた長崎忠雄氏が就任した。同社は最初のステップとして、前モデルと比較して最大3倍速く作動し、日本語に特化して最適化された「ChatGPT-4」カスタムモデルへの企業向けアーリーアクセスを開始した。同カスタムモデルは、今後数カ月以内により広くリリースされる予定だ。

業界誌のテッククランチ(4月15日)は、「ChatGPT」は以前から多言語に対応していたが、モデルを日本語専用に最適化することで、文化的背景を含めて日本語のニュアンスをより深く理解できるようになり、特にカスタマーサービスやコンテンツ作成などでより効果的に活用できるようになるはずだ、と報じている。

また、オープンAIジャパンは、日本での取り組みとして、既に「ChatGPTエンタープライズ」を導入しているダイキン、楽天、トヨタコネクティッドといった大手企業との距離を縮めるとともに、公共サービスの効率化のためにテクノロジーを活用する地方自治体の取り組みを加速する手助けをすると発表している。自治体の例では、神奈川県横須賀市で、ほぼ全ての職員が「ChatGPT」にアクセスし、80%の職員が生産性の向上がみられたと報告したという。

アルトマン氏は、4月15日の東京オフィス開設時のビデオメッセージで「これは日本国民、政府指導者、企業や研究機関との長期的パートナーシップの最初の一歩にすぎない」と述べた。

オープンAIの最大の提携先であるマイクロソフトが4月9日に日本とのAI・クラウド基盤強化での協力を発表した直後となり、AI分野における日本への投資が続いている(2024年4月16日記事参照)。

(松井美樹)

(米国)

ビジネス短信 b0fc62a3e6d46896