米グーグル、カリフォルニア州ジャーナリズム保護法に反対し、対応措置を発表

(米国)

サンフランシスコ発

2024年04月18日

米国グーグルは4月12日、カリフォルニア州議会で審議中の「カリフォルニア州ジャーナリズム保護法(CJPA)」案(AB886)を巡り、同社のブログであらためて反対の意向を表明するとともに、対応措置を発表した。

対応措置は次のとおり。

  • 試験的にカリフォルニア州の限られた一部のユーザーを対象に、同州のニュースウェブサイトへのリンクを削除し、法律がグーグルに与える影響を測定する。
  • 同州の規制環境が明確になるまで、グーグルニュースショーケース(GNS)を通じた新たなパートナーシップや、グーグルニュースイニシアチブ(GNI)の拡大計画など、同州のニュースエコシステムへのさらなる投資などを停止する。

CJPA案は、検索プラットフォームからニュース記事につなげた場合の利用料として、プラットフォームからメディアへ、いわゆる「リンク税」として利用料を支払うこととしている。

グーグルはこれに対し、「リンク税の支払いについて上限額がないため、金銭的負担と不確実性が高い」と主張。さらに、同社のこれまでのカリフォルニア州を含むメディア業界への貢献に触れ、「CJPAは、この法案のロビー活動を続けてきたメディア複合企業やヘッジファンドを利するもので、CJPAの資金を使ってカリフォルニアの地方紙を買収し続け、ジャーナリストを引き抜き、低コストで低品質のコンテンツしか作らない媒体を増やす可能性がある」と述べた。

この発表を受けて、CJPAの共同起案者のマイク・マクガイア上院議長(民主党)は「グーグルによる危険な脅しだ。恐ろしい前例を作るだけでなく、生命を脅かす緊急事態や地域の治安事件を知らせてくれるニュースに頼る州民の安全を危険にさらすものだ。権力の乱用であり、並外れた傲慢(ごうまん)さを示している」と述べた。

「サンフランシスコ・クロニクル」紙(4月12日)は、同紙やカリフォルニア放送協会、カリフォルニアニュース出版協会、その他のジャーナリストを代表する業界団体や労働団体もこの草案を支持していると報じた。

法案は州上院司法委員会で審議されており、夏の議会閉会前に可決されれば、法律となる可能性がある。

同様の法案はカナダで2023年6月に施行されており、グーグルはニュース事業者に年間1億カナダ・ドル(約112億円、Cドル、1Cドル=約112円)の財政支援を行うことに合意した一方で、メタ・プラットフォームズ(旧:フェイスブック)はカナダのフェイスブックやインスタグラムでのニュース配信を停止するなど、対応が分かれた(2023年12月6日記事参照)。

(芦崎暢)

(米国)

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