家庭内の食品廃棄の割合、北アフリカが世界で最も高いとの結果

(アフリカ、中東、世界)

調査部中東アフリカ課

2024年04月08日

国連環境計画(UNEP)が3月27日に発表した食品廃棄に関する報告書「Food Waste Index Report 2024外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」によると、北アフリカでは年間で1人当たり140キログラムの家庭内での食品廃棄物が生まれている推計となり、地域別で最も多かった。

年間で1人当たりの家庭内の食品廃棄物の重量(推定値)を地域別で見ると、中東を含む西アジア116キログラム、南アジア100キログラム、中南米95キログラム、サブサハラ・アフリカ93キログラムだった。貧困層の多い地域でも食品廃棄物が多い結果となった。

また、中東アフリカの地域別で1人当たりの家庭内の食品廃棄物が多い国は次のとおり。

〇北アフリカ

  • チュニジア:172キログラム
  • エジプト:163キログラム
  • スーダン:116キログラム
  • モロッコ:113キログラム
  • アルジェリア:113キログラム

〇サブサハラ・アフリカ

  • セーシェル:183キログラム
  • タンザニア:152キログラム
  • ルワンダ:141キログラム
  • ナイジェリア:113キログラム
  • ウガンダ:110キログラム

〇中東を含む西アジア

  • シリア:172キログラム
  • イラク:143キログラム
  • バーレーン:132キログラム
  • レバノン:128キログラム
  • サウジアラビア:105キログラム

同報告によると、2022年には世界で10億5,000万トンの食品廃棄物が生まれており、うち家庭内が60%、食品サービスで28%、小売店が12%を占める。世界で家庭内では1日当たり10億食以上が廃棄される一方で、約7億8,300万人が飢餓に陥り、世界の人口の3分の1が食料不安に直面したという。

UNEPによると、食品廃棄は世界経済に悪影響を及ぼし続け、気候変動や自然破壊・汚染にも影響を及ぼしているという。食品ロス・廃棄は、世界の年間の温室効果ガス(GHG)排出量の8~10%(航空部門の排出量の約5倍)を占める。また、廃棄物処理に関連して、世界の農地の約3分の1に相当する土地に影響を与え、生物多様性の維持にも悪影響を与えるという。

なお、固形廃棄物の回収・リサイクルの割合では、世界で最も低かったのはサブサハラ・アフリカの約36%だった(2024年4月4日記事参照)。

(井澤壌士)

(アフリカ、中東、世界)

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