欧州委、最も有害な化学物質の「必要不可欠な使用」基準を発表

(EU)

ブリュッセル発

2024年04月30日

欧州委員会は4月22日、化学品の扱いにおいて、最も有害な物質の使用の可否を判断する概念「必要不可欠な使用」の基準に関する政策文書を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。2020年の化学品戦略(2020年10月16日記事参照)では、最も有害な物質の必要不可欠でない使用は、特に消費財において段階的に廃止すべきで、あらゆる用途において使用を最小限に抑えるか、代替品に切り替るべきだとする。一方で、脱炭素化やデジタル化などにおいて、最も有害な物質の使用が社会にとって必要不可欠な場合もある。

そこで政策文書は、必要不可欠な使用の判断基準を提示する。同基準は、今後、EU法への導入を想定するものだが、具体的にEU法に規定されない限り法的拘束力を持つものではない。

最も有害な物質の使用は、次の2基準をともに満たす場合に、社会にとって必要不可欠と判断される。

  1. 健康あるいは安全にとって必要である、あるいは社会機能にとって重要であること
  2. 条件を満たす代替品がないこと

なお、政策文書には、「使用」「最も有害な物質」「健康あるいは安全にとって必要」「社会機能にとって重要」「条件を満たす代替品」などの用語に関する説明が付いている。

「必要不可欠な使用」の概念は、特定の技術的機能を有する最も有害な物質の「使用」が社会的に必要不可欠かを判断するためのもので、当該物質や同物質を含む製品やサービス自体が、社会にとって必要不可欠であるかを決定するためのものではない。そのため政策文書では、状況に応じた「使用」について評価をする必要があるとしている。

(吉沼啓介)

(EU)

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