日本食材は「日本産」に強み、輸入バイヤーに聞く

(アルゼンチン、日本)

ブエノスアイレス発

2024年04月01日

アルゼンチンでは、ハビエル・ミレイ政権が2023年12月に発足後、輸入代金の支払い規制の緩和など、経済自由化に向けた制度変更が徐々に打ち出されている。こうした状況下、ジェトロは3月11日、アルゼンチンの日本産食材輸入の現況について、輸入バイヤーに話を聞いた。概要は次のとおり。

ミレイ政権発足後、輸入代金支払い規制が緩和されたが、以前と異なって通関後に支払いできる時期が明確になった。しかし、前払いはできないため、輸入を今すぐに大きく増やせる環境ではない。加えて、経済情勢の悪化に伴い、日本産食材の主なターゲットの「中の上の所得階層」の家計が苦しくなっていることも足を引っ張っている。

とはいえ、日本産食材には根強い需要があり、新しい商材にも可能性を感じているという。例えば、ラーメンの濃縮スープにも注目しているという。スープを作るのに時間をかける必要がなく、薄めるだけですぐに店舗で出せる利点がある。近年、ラーメン店がブエノスアイレス市内で増えているものの、おいしいとは言えない店も多く、飲食店に売れるのが強みになる可能性があると見ている。

また、日本茶は、喫茶店から抹茶の問い合わせが増えている。用途は製菓用と飲料用で、日系人経営の喫茶店が中心だが、非日系の喫茶店でも抹茶を取り扱い始めている。喫茶店のカテゴリーは、高級カフェ、おしゃれ系カフェだ。抹茶などの日本茶は日本産で勝負ができる点が強みの1つだ。米国産でも品質の良いしょうゆや日本酒はある。日本酒は、探せば日本全国においしいものがあるが、アルゼンチンの市場の成熟度では、まだそういった商品への需要は小さい。菓子類も、日本メーカーが台湾や東南アジアで販売しているものが入っており、日本産では価格で太刀打ちできない。競合品がなければ消費者は高くても買うが、同じ商品なら安い方がいい。実際、みりんがそうなっている。その点、抹茶などの日本茶には可能性を感じているという。

(西澤裕介)

(アルゼンチン、日本)

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