Fガス、DPP要件などに関する懸念提起、米USTR2024年外国貿易障壁報告書(EU編)

(米国、EU)

調査部米州課

2024年04月02日

米国通商代表部(USTR)は3月29日に発表した2024年版「外国貿易障壁報告書(NTE)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで(2024年4月2日記事参照)、EUに関して、フッ素系温室効果ガス(Fガス)、エコデザインの枠組みを確立するための規制などについて言及した。2024年版は29ページを充て、前年の32ページから減少した。

EUで2024年2月に採択されたFガス規則の更新外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにより、全てのFガスの生産・使用の全面禁止が加速される。米国は、オゾン層破壊物質の代替品として作られたFガスの実行可能な代替品があるかどうか判断する前に更新されたことについて、疑問を呈している。米国は、2国間とWTOの貿易の技術的障壁(TBT)委員会でEUの上記アプローチへの懸念を提起し続けたとしている。

EUは2023年12月、持続可能な製品のエコデザインの枠組みを確立するための規則について政治合意に達した(2023年12月11日記事参照)。これにより、製品のライフサイクル情報やその他の側面を追跡するための新しいデジタル製品パスポート(DPP)を開発、実装することが求められる。米国の関係者は、DPPの要件が非現実的なスケジュールを設定し、ビジネス機密情報の不正な開示を防ぐ十分な保護手段が含まれていないと懸念する。米国は2023年中にEUに対し、貿易相手国にフィードバックを提供する機会を与えるために、この措置をWTOに通知するよう複数回要請した。

また、米国は2023年12月31日時点でEUに提出されたトウモロコシ、大豆などを含む約30件の農業バイオテクノロジー製品申請(更新を含む)の状況を追跡した。米国はEUのGE(ゲノム編集)承認の遅れを指摘し、米国の安全性評価に合格した製品の輸出を阻害することを懸念する。

医薬品分野で、欧州委員会は2023年4月にEUの一般医薬品法を改正する提案を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。この提案で革新的な医薬品を規制で保護し、販売承認のための有利な手順が可能となる。米国は各EU加盟国での販売承認や償還決定の処理時間など、企業の制御が完全に及ばない要因が含まれると指摘する。欧州委は2023年10月に「EUにおける医薬品不足への対処に関する連絡PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を発表し、深刻な医薬品不足に対処し、EUでの医薬品供給の安全性を強化するための一連の行動を採択した。米国は上記2点の動向を監視するとしている。

(松岡智恵子)

(米国、EU)

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