総選挙の最終候補者リスト公表、前大統領のズマ氏も候補者に

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2024年04月23日

南アフリカ共和国の独立選挙管理委員会(IEC)は2024年4月11日、5月29日の第7回総選挙に向けて国民議会議員の最終候補者リスト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注)を公開した。そのうちの「全国候補者リスト」(政党所属者のみ)では、与党・アフリカ民族会議(ANC)の筆頭にシリル・ラマポーザ大統領、次にポール・マシャティレ副大統領が名を連ねた。民族の槍(やり)(MK)の一番手には、汚職で大統領を辞任したジェイコブ・ズマ氏(2018年2月16日記事参照)の名があり、MKの得票数が高いと同氏が再選する可能性がある。

南アの総選挙〔国民議会(下院)および州議会選挙の同時開催〕は比例代表方式のため、有権者は政党に投票する。国民議会議員任期は5年で、議席数は400議席だ。得票率を基に各政党の当選議員数が決まり、リストの上位候補者から順に当選が確定する仕組みだ。国民議会の200議席は「全国候補者リスト」から、残り半数は「地方候補者リスト」から選ばれる。2023年4月に、政府は選挙に政党無所属者も立候補できることを認可し、今回初めて「地方候補者リスト」および「州候補者リスト」にそれぞれ無所属候補者6人が含まれた。「全国候補者リスト」には合計50を超える政党が掲載されている。

今選挙の焦点は、前回選挙(2019年5月14日記事参照)で230議席を獲得したANCがどの程度の議席数を確保できるかだ。昨今の経済低迷、電力不足などによりANCは支持を落としつつあり、民間調査やメディアでは、ANCが民主化後初めて過半数を割る可能性を指摘してきた。現在はANCが連立する政党候補について議論が及んでいるが、同時に前大統領のズマ氏が率いる民族の槍(MK)の動向にも注目が集まっている。MKは元ANCメンバーにより2023年12月に結成された新党で、ズマ氏の根強い支持基盤であるクワズール・ナタール州を中心に得票すると予想される。ズマ氏は過去の有罪判決を理由に立候補不可とされていた。しかし、4月2日に選挙裁判所が立候補者リストに加えることを支持する判決を出したことを受け、4月12日、IECは同氏の立候補は不可であることを憲法裁判所に緊急提訴しており、憲法裁判所の判断が待たれている。

(注)今回公表されたリストは、国民議会向け「全国候補者リスト」「地方候補者リスト」および州議会向けの「州候補者リスト」の3点。

(堀内千浪)

(南アフリカ共和国)

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