バイデン米政権、高等教育に係るジャンクフィー削減に向けた新たな取り組み発表

(米国)

ニューヨーク発

2024年03月18日

米国のバイデン政権は3月15日、ジャンクフィー削減に向けた新たな取り組みを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。バイデン政権は、企業が各種手数料などに関し、実際に要する経費よりも多くの費用を消費者に請求していると批判しており、こうした費用を「ジャンクフィー」と呼称して取り締まりを強化することを一般教書演説などでも明らかにしていた。今回発表したのは高等教育に関するもの。バイデン政権は、学生ローンの負担軽減(2024年2月22日記事参照)や、大学費用の透明性の向上などにも力を入れており、今回の措置はこうした負担軽減の一環となる。主な措置は次のとおり。

(1)学生ローン組成手数料の廃止

現在、連邦学生ローンを組む際に、ローン総額の1~4%を組成手数料として支払うこととされており、これがローン残高に加算されて利息の対象となることによって、教員や看護師では1,000ドル以上、それ以外の一般的な者の場合は2,800ドル以上もローン返済額が増加しているという。こうした組成手数料を廃止することで、負担軽減につなげる。同措置については、2025年度予算教書の中にも盛り込まれている(2024年3月18日記事参照)。

(2)学生向け金融商品に関するジャンク手数料への規制強化

消費者金融保護局(CFPB)によると、黒人の多い大学や営利目的の大学、ヒスパニック系教育機関に通う学生は平均よりも高い手数料を支払っており、約65万人以上の学生に対して数百万ドルもの手数料が課されているという。こうした手数料の削減に向けて、高等教育機関と契約する銀行が資金不足手数料や維持閉鎖手数料など、学生に損害を与える手数料を請求することを禁止する規則を制定する。

(3)教科書料金の自動請求の禁止

現在は授業料に教科書料金を自動的に含める場合が多くあり、学生がより安い教科書やオープンソースの無料の教科書を使って費用を抑えることを困難にしているという。このため、授業料に教科書料金を含めるには、学生からの承認を必要とする規則を制定する。なお、バイデン政権はこれまでもオープン教科書パイロットプログラムとして、教育機関が無料教科書やその他のオープンソースのコース教材を作成・使用した場合に助成金を提供する措置を行っており、2025年度予算教書にもこのための費用が盛り込まれている。

(4)学生ミール(食事)プランの残金返金

学生ミールプランのうち、学生が使用しきれなかった料金は現在、教育機関が収納しているが、学生への返還を義務付ける規則を制定する(注)。

(注)学生は多くの場合、教育機関からミールプランを購入する必要がある。各機関は財政援助資金をミールプランの費用に充当することができる。これを、各機関はキャンパス内の食料品店やフードコートでの出費を賄うために現金のように使用できる。現在、教育機関は期間の終了時に未使用の資金を返還することなく、残りの資金を受け取ることができる。

(加藤翔一)

(米国)

ビジネス短信 e817d831172f059a