米アップル、自動運転機能を持つEV開発を断念と社内で発表

(米国)

サンフランシスコ発

2024年03月05日

米国のアップルは2月27日、従業員2,000人が関わる自動運転機能を持つ電気自動車(EV)開発プロジェクトを断念することを明らかにした。この決定は、同社のジェフ・ウィリアムズ最高執行責任者(COO)とケビン・リンチ副社長によって内部の会議で発表されたという。この開発プロジェクトに携わった多くの従業員は生成人工知能(AI)プロジェクトにシフトするというが、多くのレイオフがなされるという見方もある。

同社は2014年ごろから自動運転プロジェクトを開始し、2017年にティム・クック最高経営責任者(CEO)がブルームバーグとのインタビューで認めたように、「1つの自律的システムを構築する目的は自動運転車両(AV)だ。それは全てのAIプロジェクトの母だと捉えている。おそらく最も難しいAIプロジェクトであるとともに、最もわくわくするもので、どこまでできるか見ることになるだろう」と述べている(IT専門ウェブサイト「The Verge」2月29日)。同社は何年も自動運転技術を装備した車両をテスト走行してきた。2022年12月にも複数のメディアが、同社が2026年にAVを発売予定と報じている(2022年12月15日記事参照)。

しかし、内部でタイタンとプロジェクト172のコードネームを持つアップルのAVは開発に困難を極めた。部門を閉鎖したり、計画を何度も変更したりし、何十人もの従業員がレイオフに遭ってきた。テッククランチ(2月28日)は、同社のAV開発のタイムラインを振り返りつつ、詳細は曖昧なままで、結局、クックCEOは当時、何を達成したかったのか漠然としたままで、何をつくりたかったのかはっきりしなかったことだけは確かなようだと評した。

複数のメディアは、自動運転機能を持つEV開発を断念したことについて、アップルからのコメントはなかったとしている。

(松井美樹)

(米国)

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