政府が外国との経済特区構想を進める

(カンボジア)

プノンペン発

2024年03月14日

カンボジア政府は2023年末ごろから、同国への外国直接投資(FDI)を促進するため、新たな経済特区設立の検討を加速している。特定国との2国間協力をベースとする経済特区構想で、現在、日本を皮切りに、英国、インド、マレーシア、タイなどとの間で検討が進んでいる。

一連の経済特区構想の筆頭となった「カンボジア・日本経済特区」は、フン・マネット首相が2023年12月に日ASEAN特別首脳会議のために来日した際、岸田文雄首相に対して提案したものだ(2024年1月4日記事参照)。日本企業専用の経済特区を設置することで、日本からより多くの投資家の誘致を目指している。

2024年に入ってから、日本以外との経済特区構想も進んでいる。スン・チャントール副首相兼カンボジア開発評議会(CDC)第1副議長は2月5日、投資誘致と環境保護、持続可能な開発目標達成のため、駐カンボジア英国大使が提案したコッコン州(カンボジア南西部)での「グリーン経済特区」の構想に賛同する意思を示した。また、スン・チャントール氏は2月21日、駐カンボジア・インド大使に「カンボジア・インド技術経済特区」を提案した。さらに、フン・マネット首相はマレーシア公式訪問中の2月27日、マレーシア商工会議所が提案した「カンボジア・マレーシア経済特区」構想に賛同した。2024年内にワーキンググループを立ち上げ、検討を進める計画だ。そのほか、カンボジア政府は3月4日、タイとの経済特区設立に向けたワーキンググループを立ち上げた。在タイ企業が生産活動の最適化を図るため、近隣国へ事業の一部を移管する「タイプラスワン」を念頭に、それに対応した経済特区をカンボジアに設置する計画だ。

2024年3月現在、CDCは65の経済特区を承認しているが、そのうち実際に稼働しているのは30カ所にとどまる(注)。カンボジア政府は外国政府と協力して魅力的な経済特区を整備することで、FDIを引きつけたい狙いだ。

(注)ジェトロでは毎年、カンボジア経済特区マップPDFファイル(5.3MB)を作成している(添付資料参照)。

(ニティー・ヘン)

(カンボジア)

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