世界有数の高所得国ルクセンブルクのバイヤー、福井県の酒蔵や漆器メーカー訪問

(福井、ルクセンブルク)

福井発

2024年03月25日

ジェトロは31315日、世界有数の富裕国といわれるルクセンブルクのバイヤーを福井県に招聘(しょうへい)し、県内の酒蔵や越前漆器の工房を訪ね、県内事業者10社以上と商談を行った。

このプログラムは、ジェトロが招待した海外バイヤー専用のオンラインカタログサイト「Japan Street」事業の一環で実施した。バイヤーはルクセンブルクのグローバル・リンク。同社は現地で日本酒の輸入販売や、ECストアの運営、日本酒に関する教育普及活動を行っている。今回の福井県訪問について、同社の代表取締役社長のグレーフィン・フォン・オーバンドルフ真己子氏は「日本酒のみならず、酒器をはじめとする越前漆器の取り扱いに関心がある」と語った。同氏によると、欧州では漆器がそれほど普及していないため、越前漆器を先行して取り扱うことにはメリットがあるという。

写真 福井県の越前漆器取扱事業者を訪問(ジェトロ撮影)

福井県の越前漆器取扱事業者を訪問(ジェトロ撮影)

写真 福井県の酒造メーカーを訪問(ジェトロ撮影)

福井県の酒造メーカーを訪問(ジェトロ撮影)

同氏らは酒蔵や工房を訪問中、熱心に説明を聞きながら、カメラを向けて記録していた。バイヤーは「越前漆器の使い方や見せ方の気づきがあり、顧客への提案の際に参考になる」「(日本酒の普及啓発には)現地の顧客や日本酒講座の生徒に対して、写真や映像で製造過程をはじめとする現場の様子を見せることが重要」と強調。同社の日本酒のラインアップの見直しや拡充、漆器を含むさまざまな日本産品の販売・発信に注力していきたいと述べた。今回、同社と商談した県内事業者からは「欧州への輸出実績が今までなく、輸出に関連する情報が得られたのは有益だった」といったコメントがあった。

ルクセンブルクは、1人当たりGDPが世界1位というだけでなく、人口の約半分が外国人といった国際性が高い国だ。また、人口比でみたミシュラン星付きレストランの数が多いなど、高級志向のグルメが集まる国といわれており、欧州の富裕層への文化・情報発信拠点として高いポテンシャルを有している。加えて、ドイツ、ベルギー、フランスと隣接し、EU域内の主要都市へのアクセスもよいなど、物流面で地理的優位性が高い。

グローバル・リンクは今回の訪日で福井県のほか、山梨県、石川県、大阪府も訪問。酒蔵や工房以外にも、ワイナリー、食品・製茶メーカー、窯元、刃物メーカーなどに足を運び、商談を行った。

(齋藤寛、清島優花)

(福井、ルクセンブルク)

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