ジェトロ、アジア最大級の国際食品展で日本産水産物のパビリオン初出展

(日本、東京)

農林水産食品部商流構築課

2024年03月25日

ジェトロは358日、東京ビックサイトで開催されたアジア最大級の国際食品・飲料展「FOODEX JAPAN 2024」に「ジェトロ水産物パビリオン」を設置した。

FOODEX1976年から続くアジア最大級の国際食品展。ジェトロが設置したウクライナパビリオンを含む世界68カ国・地域から2,879社・3,913小間が出展し、最新の食品・飲料が一堂に会した。バイヤーは日本国内だけでなく、アジアをはじめとした世界各国・地域から来場し、4日間の会期で約76,000人に上った。

ジェトロが水産物に限定したパビリオンをFOODEXに出展するのは今回が初めて。同パビリオンは、日本の水産物の魅力を国際的に広めるとともに、海外販路の開拓・拡大を目指す国内水産事業者を支援することを目的だ。同パビリオンには日本全国から水産物などの輸出に取り組む29事業者がホタテやカキなどの原料から、かまぼこやノリなどの加工品まで、えりすぐりの商品をそろえてブースを出展し、多くの来場でにぎわった。

写真 ジェトロ水産物パビリオンの外観(ジェトロ撮影)

ジェトロ水産物パビリオンの外観(ジェトロ撮影)

写真 多くの人であふれるジェトロ水産物パビリオン内の様子(ジェトロ撮影)

多くの人であふれるジェトロ水産物パビリオン内の様子(ジェトロ撮影)

2023824日から始まった東京電力福島第1原子力発電所のALPS処理水の海洋放出を受け、一部の国・地域では日本の水産品の輸入を停止し(2023年8月24日記事2023年8月25日記事参照2023年8月28日記事参照)、国内水産事業者による輸出は難航している。出展企業のうち、広島県の呉市役所は市内の水産事業者2社とともに共同出展者として参画した。同市役所の平賀英司氏によると、このような輸入停止が同市内の水産事業者に大きな影響を与えているという。

同市ブースに出展した音戸海産(カキの養殖・販売)は中国への輸出に向け、設備投資を実行するタイミングで中国の輸入停止発表があり、その影響で計画が頓挫したという。同社の栗原単氏によると、今回の主な出展目的は中国以外も対象にした輸出先の新規開拓だ。4日間の出展期間を通して寄せられた引き合いのうち、積極的なものは30社を上回り、「想像を超える数の引き合いがあり、ニーズを感じた」と手応えを語った。

パビリオンに訪れたチェコのバイヤーは「日本産水産品の品質の高さに満足している。どれもおいしかった」とコメントした。

写真 来場者に製品の説明をする音戸海産の栗原単氏(ジェトロ撮影)

来場者に製品の説明をする音戸海産の栗原単氏(ジェトロ撮影)

多数の引き合いがあった一方、出展事業者からは需要に生産量が追いつけず、海外市場向けに安定的な供給責任を果たすためには、生産態勢の増強も大きな課題という声も上がった。水産庁の令和4年度水産白書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、世界の食用魚介類の1人当たり消費量は過去50年で約2倍に増加し、需要は増加傾向にある。日本国内では魚介類の消費量は減少し続ける中、ジェトロは日本産水産物に対する海外での需要増加を見据え、海外輸出支援に引き続き取り組む。

(川本暖乃)

(日本、東京)

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