協和キリン、2億ドルを投じ米ノースカロライナ州に医薬品製造複合施設を新設

(米国、日本)

アトランタ発

2024年03月04日

米国ノースカロライナ州経済開発機構(EDPNC)は2月27日、医療用医薬品の研究・開発・製造・販売などを行う協和キリンが2億ドルを投じ、ノースカロライナ州リー郡に医薬品製造複合施設を建設すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

同郡サンフォードに建設予定の新施設は、標的臨床用および商業用の生物学的製剤の製造をサポートするセンター・オブ・エクセレンス(注1)として機能し、より効率的かつレジリエンスの高いサプライチェーン構築に寄与するとともに、同社の世界各地の製造に携わる従業員の訓練と育成をサポートする予定だ。新施設では、第2フェーズおよび第3フェーズの臨床用製品を製造するほか、米国外拠点で開発された製品の販売拠点にもなり、新たに102人を雇用する見込みだ。

EDPNCのクリストファー・チャン最高経営責任者(CEO)は「協和キリンのような新しい企業をノースカロライナ州に迎えられるのは、NCバイオテック(注2)といったパートナーとの協力の賜物(たまもの)」「ノースカロライナ州のライフサイエンス産業は1950年代にスタートし、この基盤を活用してバイオ製造業の一大拠点となった。協和キリンが地域とリー郡の成功に貢献することを期待している」と述べた。

今回、協和キリンが医薬品製造複合施設を建設するリー郡は、同州中央部に位置するリサーチ・トライアングル・リージョンと呼ばれる地域に属している。リサーチ・トライアングル・パーク(注3)を中心とするこの地域は、近年、ライフサイエンス・ハブとしても知られている(2022年6月30日記事参照)。2022年には、今回の新施設と同じサンフォードにアステラス製薬が遺伝子治療薬製造施設を新設したほか、富士フイルムも1億8,800万ドルを投じて、細胞培養の培地の生産拠点を新設すると発表した(2022年6月20日2022年11月30日記事参照)。

(注1)組織横断的な取り組みを実施する際に、中核となる研究拠点。

(注2)ノースカロライナ州主導のバイオテクノロジー分野の支援機関。業界研究、ビジネス開発、教育支援、戦略的政策目標の策定、提唱などを行っている。

(注3)全米最大級のハイテクパークで、優秀な人材を輩出している全米トップレベルの研究大学3校(デューク大学、ノースカロライナ州立大学、ノースカロライナ大学チャペルヒル校)を結ぶ三角形の中に、1959年に設立された。

(檀野浩規)

(米国、日本)

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