アステラス製薬、米に遺伝子治療薬の大量生産施設を新設

(米国、日本)

アトランタ発

2022年06月20日

アステラス製薬は6月8日、米国ノースカロライナ州サンフォードに遺伝子治療薬製造施設を新設した。本施設は、同社にとって米国で2カ所目の遺伝子治療薬用施設となる。投資額は1億ドルで、アデノ随伴ウイルスを利用した遺伝子治療薬の臨床試験向けおよび商業用製造を行う。

本施設の所在するリー郡サンフォードは、ノースカロライナ州中心部のリサーチ・トライアングル・リージョンと呼ばれる地域に位置する。当該地域は、優秀な人材を輩出している全米トップレベルの研究大学3校(デューク大学、ノースカロライナ州立大学、ノースカロライナ大学チャペルヒル校)を結ぶ三角形の中に1959年に設立され、全米最大級のハイテクパークであるリサーチ・トライアングル・パークを中心とし、近年はライフサイエンス・ハブとしても知られている。本施設では、2026年までに200人以上が雇用される予定で、年間平均給与は8万3,900ドルになる見込みだ。

遺伝子治療は、アステラス製薬が重点的に投資を行い、革新的な治療法の研究開発に取り組んでいる領域の1つ。遺伝子には、身体の中のタンパク質を作る設計図の役割があり、同社は遺伝子治療を通じて、機能を持つ遺伝子を投与し細胞内のタンパク質の合成を調整することで病気の回復を目指す。そのためには、機能を持つ遺伝子を体内で目的とする細胞に運ぶ必要があり、ここでアデノ随伴ウイルスが利用される。遺伝子を組み込んだアデノ随伴ウイルスを体内に投与することで、ウイルスを乗り物として遺伝子を目的の細胞に届けることが可能になる。アステラス製薬は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーなど希少な神経筋疾患に対する治療薬の開発に取り組んでいる。

ノースカロライナ州の新施設は、同社がカリフォルニア州サウスサンフランシスコに構える遺伝子治療薬の研究・製造施設と比べて、生産規模が大きいのが特徴だ。遺伝子治療薬の大量生産には、高度な技術力と設備が必要になるが、主要設備であるバイオリアクターは従来施設の約4倍、将来的には20倍まで拡張するという。同社は、新施設の製造能力について「複数のプログラムの材料を順番ではなく、並行して製造することを可能にし、将来承認されるあらゆる治療法に対して商業規模の製造能力を提供する」と説明している。

(高橋卓也)

(米国、日本)