欧州自動車部品工業会、EU域内での投資減退と雇用減少に危機感

(EU)

ブリュッセル発

2024年03月22日

欧州自動車部品工業会(CLEPA)は3月19日、世界の自動車部品産業の対内直接投資(FDI)動向の分析結果を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。EUは米国に大きく水をあけられ、EU企業も米国などEU域外への投資に重点を置き、域内での設備投資の先送りや雇用の減少につながっていることが分かった。

2023年の域外企業によるEUへの投資額は、バッテリーサプライチェーンを中心に、約100億ユーロだったが、世界全体のFDIでのEUのシェアは低下している。一方、米国は投資先としての魅力が高まっており、2021年下半期から2023年の2年半の米国へのFDIは、EUの3倍超の約652億ユーロに上った。

EU企業による域外への投資は年々増えており、2023年は約200億ユーロだった。特に米国、カナダ、メキシコのバッテリーサプライチェーン分野には、2021年以降で合計約170億ユーロを投資。EU企業による投資は3カ国での同分野への投資全体の35%を占めた。一方、EU企業の総設備投資額は2022~2029年の合計で、2022年予測より約270億ユーロ少なくなるとみられている。

欧州の自動車部品産業の雇用については、2019年以降、5万5,000件の新規雇用が創出されたのに対し、約11万8,000件の雇用が失われ、2024年も好転する兆候は見られていない。CLEPAは2021年に、電動化推進やEuro 7(ユーロ7)による排ガス規制の厳格化(2023年12月25日記事参照)などにより、2025年までに約10万1,000件の雇用創出を予測した。しかし、ここ5年間は雇用喪失が雇用創出を約6万件上回った。CLEPAのベンヤミン・クリーガー事務局長は、EUへのFDI減少と雇用喪失に強い危機感を示し、EUは産業競争力強化を重視した新たな政策が必要とした。

(滝澤祥子)

(EU)

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