ジェトロが「日本の技術による持続可能な成長」セミナーをコロンボで開催

(スリランカ、日本)

調査部アジア大洋州課

2024年03月29日

ジェトロは3月26日、日系のグランベル・ホテル・コロンボにおいて、スリランカの社会課題解決に資する日本企業の技術の紹介を通じ、スリランカ企業と日本企業の貿易や協業の促進を図るセミナー「日本の技術による持続可能な成長(Sustainable Development through Japanese Technologies)」を開催し、企業関係者など54人が参加した。

同セミナーでは、在スリランカ日本大使館の水越英明大使、スリランカー日本ビジネス協議会会長のマヘーン・カーリヤワサン氏のあいさつに続き、国連開発計画(UNDP)スリランカのポリシーおよびプログラム専門家である、デュラーニ・シリセーナ氏が、同国でのSDGs(持続可能な開発目標)の達成に必要な投資分野を整理した「SDGインベスター・マップ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」について解説した。その後、ジェトロ・コロンボ事務所の大井裕貴所長が、持続可能な成長に向けた日本からの投資の可能性について説明した。

続いて、日本で開発された製品をスリランカの農業、水処理およびヘルスケア分野で販売する3社が、現地企業との連携拡大に向けた講演を行った。

日本から農業機械などを輸入・販売するブラウン&カンパニー(Brown & Company)の農業・重機クラスター最高執行責任者(COO)のサンジャヤ・ニッサンカ氏は、スリランカの農業における生産性の向上や人材育成、アフターサービスなどの課題に対する同社の取り組みを紹介し、エネルギー効率の高い機械やスマート灌漑技術の導入の必要性などを訴えた。

浄化槽や浄水機器などの環境関連機器などを製造・販売するダイキアクシス(本社:愛媛県松山市と東京都中央区)が100%出資する現地法人ダイキアクシス・エンバイロメント(Daiki Axis Environment)のディレクター兼最高執行責任者(COO)のプラバス・ダーナヤケ氏は、同社がスリランカにおける水質汚染・環境改善への貢献を企業活動の目標として掲げているとした上で、浄化槽の普及を通じ日本で水質が向上した事例などを取り上げ、長期的に環境を保護する重要性をアピールした(2022年12月7日付地域・分析レポート参照)。

医療用電子機器メーカーの日本光電工業(本社:東京都新宿区)の現地法人である日本光電シンガポールでビジネスコンサルタントを務めるサンパト・クララトネ氏は、医療インフラの整備が求められるスリランカで、高品質かつ耐久性が高く診断が正確で、廃棄物の発生の削減による環境保護にも寄与する日本発の測定器など医療機器のメリットを強調した。

セミナーの加者からは、「このような日本企業との関係構築を図る場を今後も開催してほしい」「関心あるテーマの話が聞け、貴重な情報収集ができた」という意見や、日本企業からのスリランカへの進出や協働を期待する声が上がった。

写真 セミナーの様子(ジェトロ撮影)

セミナーの様子(ジェトロ撮影)

(寺島かほる、大井裕貴)

(スリランカ、日本)

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