大豆とトウモロコシの生産改善見通しを下方修正、再びラニーニャ現象の恐れ

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2024年03月15日

アルゼンチンのロサリオ穀物取引所(BCR)が2月21日に発表した農作物生産見通しに関する月次報告書によると、2023/2024年度のトウモロコシと大豆の生産量見通しは、記録的な干ばつに見舞われた2022/2023年度に比較して大きく改善する(添付資料図参照、注)。しかし、1月中旬から2月末まで続いた猛暑により、前月の月次報告書で示した「絶好調」との生産量見通しを下方修正した。

BCRによると、2023/2024年度のトウモロコシの生産量は、前年度比58.3%増の5,700万トンとなる見通しだ。1月の見通しでは5,900万トンとしていた。全国のトウモロコシ作付面積は前年度の891万ヘクタールから861万ヘクタールに縮小する見通しだ。

一方、大豆の生産量は前年度比2.48倍の4,950万トンに達する見通しで、作付面積は前年度の1,600万ヘクタールから1,730万ヘクタールに拡大する。1月の見通しでは、生産量を5,200万トンと見込んでいた。

12月に収穫を開始した小麦に関しては、2023/2024年度の生産量は前年度比26.1%増の1,450万トン、作付面積は前年度比の590万ヘクターから550万ヘクタールまで縮小する見通しだ。

また、BCRは3月6日、「2024年10月にアルゼンチンが再び強いラニーニャ現象の影響に直面する確率が77%に上がった」と警鐘を鳴らした。ラニーニャ現象は、南米沿岸の海面水温が平年より低い状態が続くことを指し、降雨不足をもたらすことが多い。アルゼンチンでは、1998年から2001年の3年連続、その後2019年から2022年の3年連続で同現象の大きな影響を受け、干害に見舞われた。「米国海洋大気庁(NOAA)、米気候予測センター(CPC)、欧州中期予報センター(ECMWF)などの3月時点のデータを分析した結果、海面水温は過去25年間でほぼ観測されていない水準まで低下している」「ラニーニャ現象が必ずしも干ばつを引き起こすとは言い切れないものの、農業生産者は再び厳しい状況に備える必要があるだろう」とBCRの専門家が説明した。

写真 3月としては統計開始以来の歴史的猛暑に見舞われるも、耐えるトウモロコシ畑(ジェトロ撮影)

3月としては統計開始以来の歴史的猛暑に見舞われるも、耐えるトウモロコシ畑(ジェトロ撮影)

(注)年度は農作物ごとに期間が異なり、作物収穫開始から12カ月間を指す。例えば、大豆は4月~翌年3月、トウモロコシは3月~翌年2月などとされる。 

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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