バイデン米大統領、ガザでの仮設桟橋設置を米軍に指示
(米国、イスラエル、パレスチナ、サウジアラビア、イラン、イエメン)
テルアビブ発
2024年03月11日
米国のジョー・バイデン大統領は3月7日に行った一般教書演説(2024年3月8日記事参照)で、イスラエルとハマスの軍事衝突について言及した。
バイデン大統領は、「イスラエルはハマスに攻撃を行う権利がある」と述べた一方で、「イスラエルには、ガザにいる罪のない市民を守るという基本的な責任もある」と指摘した。さらに、「少なくとも6週間続く即時停戦を確立するために、ノンストップで活動してきた」と述べ、「食料や水、医薬品、仮設シェルターなどを運ぶ大型の輸送船を受け入れるガザ地区沿岸に仮設桟橋を設置する緊急任務を主導するよう米軍に指示する」とした。
ガザ地区に関しては、「イスラエルはガザへの援助を増やし、人道支援者が戦火に巻き込まれないようにしなければならない」と主張し、イスラエルの指導者に対し、「人道支援を二の次にしたり、駆け引きの材料にしたりしてはならない」とくぎを刺した。
バイデン大統領は、「将来を見据えたとき、この状況に対する真の解決策は『二国家解決』(注)だ」と指摘し、「イスラエルの安全と民主主義を保証する道は他にない。パレスチナ人が平和と尊厳をもって平和に暮らせることを保証する道は他にない。イスラエルと、サウジアラビアを含む周辺の全てのアラブ諸国との間の平和を保証する道は他にはない」と述べた。
さらに、「中東に安定をもたらすことは、イランの脅威を封じ込めることでもある」とし、「だからこそ私は、紅海における国際海運と航行の自由を守るために、十数カ国からなる連合を構築(2023年12月19日記事参照)したのだ」と説明した。バイデン大統領は、「イエメンの武装組織フーシ派の能力を低下させ、この地域の米軍を守るために攻撃を命じた」とし、「最高司令官として、私は国民と軍人を守るためのさらなる措置を指示することをためらわない」と述べた。
バイデン大統領は3月9日のMSNBCのインタビューで、「イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相にレッドライン(越えてはならない一線)はあるのか、ガザ地区ラファへの侵攻(2024年2月16日記事参照)はレッドラインになるか」との質問に対し、「それはレッドラインだが、私はイスラエルを見捨てるつもりはない。イスラエルの防衛は依然として重要だ」とし、「(対空防衛システムの)アイアンドームで守れなくなるように(アイアンドーム用の)武器供与を停止するというレッドラインはない」と答えた(「タイムズ・オブ・イスラエル」3月9日)。
イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。
(注)イスラエルとパレスチナ間の問題を解決する方法として、イスラエルと完全な主権を有する独立したパレスチナ国家が平和かつ安全に共存することを支持する立場。
(中溝丘)
(米国、イスラエル、パレスチナ、サウジアラビア、イラン、イエメン)
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