カナダの第4四半期GDP成長率、前期比年率1.0%

(カナダ)

トロント発

2024年03月04日

カナダ統計局が2月29日に発表した2023年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率は前期比年率1.0%外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますとなり、2四半期連続のマイナス成長を回避した。第3四半期(7~9月)の成長率は、12月発表のマイナス1.1%(2023年12月1日記事参照)からマイナス0.5%に上方修正された。

統計局は、輸出増加と輸入減少がGDPの伸びを押し上げたが、設備投資の減少がGDPの伸びを鈍化させたと説明した。

財・サービスの輸出では、アルバータ州での持続的な原油生産に伴う原油・ビチューメン(歴青、注)の輸出、旅行サービスおよびその他の輸送機器・部品の輸出により、第3四半期の0.3%減から第4四半期には1.4%増となった。輸入は、中間金属製品やタイヤ、自動車エンジン・部品、乗用車・小型トラックが牽引し、第3四半期の0.3%から第4四半期はマイナス0.4%となった。

一方、設備投資は非住宅用構造物投資の減少、航空機およびその他の輸送機器への支出が減少したことなどが寄与し、前四半期比9.5%減となった。

在庫投資は、第3四半期の増加ペース〔347億カナダ・ドル(約3兆8,517億円、Cドル、1Cドル=約111円)〕増より緩やかなものの、第4四半期も304億Cドル増加した。小売業・卸売業の在庫は減少したが、石油精製品、機械、自動車などの製造業の在庫の増加によって、一部相殺された。

統計局の発表を受け、カナダ銀行大手トロント・ドミニオン(TD)銀行のディレクター兼シニアエコノミストのジェームス・オーランド氏は「高金利が経済成長を圧迫している。国際的な要因を除けば、経済は縮小し、1人当たりGDPは過去6四半期のうち5四半期で減少している。中央銀行は最近のコメントでこの弱さを認識しているが、インフレ率がそれに追随するのを辛抱強く待っている。われわれは、今後数カ月間のデータを通じてこの車輪が動き出すと考えており、中銀の最初の利下げは6月になると予想している」とコメントした(TDエコノミクス2月29日)。

中銀の次回の政策金利発表は3月6日に予定されている。

(注)ビチューメンとは、天然に産する炭化水素類、あるいはそれらを含む非金属誘導体などの混合物の総称。

(斎藤健史)

(カナダ)

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