ホンダの2024年モデルBEV「プロローグ」、7,500ドルの米税額控除対象に

(米国、日本)

ニューヨーク発

2024年03月08日

ホンダは3月7日、2024年モデルのバッテリー式電気自動車(BEV)「プロローグ」がインフレ削減法(IRA)の下で制定された最大7,500ドルの税額控除の対象になると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。対象は2月26日以降に製造したモデル。控除適用後の価格は、構成別に見た5つのタイプのうち、最も安価なシングルモーター搭載の二輪駆動車で、3万9,900ドルとなる。

プロローグはBEVとしてホンダが米国で間もなく販売を開始するスポーツ用多目的車(SUV)。1回の充電当たり最大で296マイル(約476キロ)の走行が可能だ。米国では2012年から販売を開始した「フィットEV」や、2017年にニューヨークオートショーでワールドデビューし、2020年3月に生産中止を発表した「クラリティ」などに次ぐBEVとなる(注1)。ホンダは2050年までに製品と企業活動でのカーボンニュートラル実現を目指しており、そのため2040年までに全世界での電気自動車(EV)と燃料電池車の販売比率を100%とするという電動化目標を掲げている。オハイオ州ジェファーソンビルで現在建設中の韓国のLGエナジーソリューションとの合弁のEVバッテリー工場で、2025年の本格稼働を目指すなど、米国内でのバッテリー生産にも注力する。

IRA下の税額控除の対象となる車両は、北米での最終組み立てが条件となっており、搭載するバッテリーの生産地も限定されていることなどから、対象車両は限定的だ。エネルギー省が発表した3月6日時点の税額控除対象モデル数は、2024年1月1日時点の19モデルから、今回のプロローグを含めて33モデルに増加した(注2)。増加したモデルの中には、プロローグの競合車ともいわれるフォルクスワーゲン(VW)のSUV「ID.4」なども含まれている。また、3月4日には、日産自動車が2024年モデルBEVのSUV「アリヤ」の値引きを発表。このモデルはIRAの税額控除の対象となっていないものの、最低価格で控除適用後のプロローグとほぼ同水準の3万9,950ドルに設定された(2024年3月6日記事参照)。さらに、テスラがSUV「モデルY」を値引きする可能性も報じられており、価格競争の行方が注目される。

今回の発表で北米ホンダのランス・ウルファーオート・セールス担当副社長は「ホンダのプロローグが7,500ドルのEV税額控除の対象となることは、当社の顧客にとって朗報だ」「プロローグはスタイリッシュで、スポーティー、価格も優れている。まさに、EV市場のスイートスポットを捉え、顧客の需要に応えるものだ」と述べた。

(注1)そのほか、ホンダは1997年にBEV「EV Plus」のリースを開始。モーターインテリジェンスによると、2020年までの累計販売台数は302台。

(注2)同じモデル名でも構成が異なる車両は別のモデルとして換算されている。例えば、ここではテスラ「モデルY」の前輪駆動車と、「モデルYパフォーマンス」はそれぞれ1モデルに数えられる。

(大原典子)

(米国、日本)

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