アフリカ大陸自由貿易圏の試験プログラムが拡大

(アフリカ、南アフリカ共和国、ケニア、ガーナ)

ナイロビ発

2024年03月07日

2024年2月17~18日に開催された、アフリカ連合(AU)の第37回年次総会首脳級会合(2024年2月22日記事参照)に合わせて、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)事務局は、AfCFTAの進捗状況にかかる報告書を発表した。

報告書によると、AfCFTAに署名した54カ国・地域のうち、2024年1月時点で47カ国・地域が批准し、批准待ちは残る7カ国(注1)となった。物品貿易にかかる譲許表は、45の国と地域経済共同体が提出して、既に承認済みで、現在、アンゴラ、サントメプリンシペ、ジンバブエが審査中だという。原産地規則は92.3%の品目について合意に至っており、懸案となっていたテキスタイル、アパレル、自動車分野で大きな進捗があった。原産地にかかる残る懸案交渉は、2024年9月までに交渉妥結を目指すという。また、サービス貿易では5つの優先セクター(ビジネス、通信、金融、観光、運輸)について自由化を進める方向で、既に22項目の措置が承認され、さらに26項目の提案について審議中としている。

報告書では、AfCFTAのフレームワークを実際に用いて貿易を行う実験的なプログラム「ガイデッド・トレード・イニシアチブ(GTI)」(2022年10月7日記事参照)の参加国を7カ国から35カ国(注2)に大幅に拡大することが発表された。また、サービス貿易にかかる交渉の進展を踏まえ、試験プログラムをサービス貿易にも拡大することとしている。今後、プログラムで扱う品目の検討などを経て、2024年10月にGTIの第2弾ローンチを行う予定だ。2023年は参加する7カ国の間で、コーヒー、紅茶、セラミックタイル、電気部品、ドライフルーツ、加工肉などの貿易が行われた。GTIの拡大に先駆けて、2024年1月には南アフリカ共和国がGTIに基づく最初の輸出を行った。冷蔵庫や家電、鉱山機械が複数国に出荷されたという。

今後、GTIの拡大により、AfCFTAの進展加速化が期待されるものの、アフリカ域内の輸送や、各国における規制など、非関税障壁は決して低くはない。報道によると2022年10月にケニアから船便で出荷された紅茶がガーナに到着したのは2023年2月で、さらにガーナで品質検査を受け承認を得るのにさらに5カ月を要したという。

(注1)7カ国はベナン、リベリア、リビア、マダガスカル、ソマリア、南スーダン、スーダン。

(注2)35カ国は、アンゴラ、アルジェリア、ブルンジ、ボツワナ、チャド、中央アフリカ、カーボベルデ、カメルーン、コンゴ共和国、コモロ、コートジボワール、コンゴ民主共和国、エスワティニ、赤道ギニア、エジプト、ガボン、ガーナ、ケニア、レソト、モーリシャス、マダガスカル、マラウイ、モロッコ、ナミビア、ナイジェリア、ルワンダ、南アフリカ共和国、セネガル、シエラレオネ、セーシェル、タンザニア、チュニジア、トーゴ、ウガンダ、ジンバブエ。

(佐藤丈治)

(アフリカ、南アフリカ共和国、ケニア、ガーナ)

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