神奈川発スタートアップのアーク、シンガポールの食料問題解決への貢献目指す

(神奈川、シンガポール)

横浜発

2024年03月06日

アーク(ARK、本社:東京都渋谷区、開発拠点:神奈川県平塚市)は、同社が開発・製造する小型陸上養殖システム「ARK」を通じて、地球規模の食料問題解決への貢献を目指している。12527日、ジェトロが主催するクリーンテック・シンガポールミッション(2024年2月16日記事参照)に参加し、シンガポールをはじめとする東南アジア地域でのビジネス展開の可能性について調査を行った。

写真 シンガポールでピッチする竹之下CEO(ジェトロ撮影)

シンガポールでピッチする竹之下CEO(ジェトロ撮影)

写真 小型陸上養殖システムARK(アーク提供)

小型陸上養殖システムARK(アーク提供)

アークは2020年12月に創業し、神奈川県平塚市に研究・開発拠点、英国・ロンドンに営業拠点を構える。地球の人口増加などによる世界的なタンパク質不足の解決のため、「小型・分散型による陸上養殖の民主化」をミッションに、陸上養殖の参入障壁を下げ、「どこでも誰でも水産養殖できる」閉鎖循環式陸上養殖システムの開発・製造を行っている。「ARK」は閉鎖型のため、環境への負担がないほか、駐車場1台分のスペースがあれば設置することができ、コスト競争力もあるという。また、屋根に設置された太陽光パネルで発電するため、エネルギーコストと環境負荷を同時に抑えることが可能だ。

琉球大学との共同研究を通して、ヤイトハタなどの南方の魚の養殖手法を確立した同社は、東南アジアでの展開を狙い、1人当たりGDPの高さと水産物消費量の多さから、シンガポールの市場調査に挑んだ。シンガポールミッションに参加した竹之下航洋代表取締役CEO(最高経営責任者)は、同社のシステムで養殖可能なハタ類が高級魚として扱われている点や、店頭で活魚をディスプレーするレストランが存在する点などから、市場としての可能性を感じたという。さらに、シンガポールのコスト高をカバーするため、国境をまたいだサプライチェーンの構築なども検討する必要があるため、今後はマレーシアやインドネシアなどでの調査を行う予定という。

海外向け製品を2024年末にリリース予定

同社は2月に国内の小規模陸上養殖事業者向けに、ハタ類養殖パッケージの販売を開始し(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、2024年末には海外向け製品のリリースを控えている。竹之下CEOは、今回のミッション参加を契機に東南アジアの現地企業とパートナーシップを組み、「シンガポールをショーケースとして、2025年以降に本格的な海外展開を目指したい」と意気込みを語った。

(芥川晴香)

(神奈川、シンガポール)

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