銀行の外貨繰りに係る規制緩和が進み、外貨準備高はやや好転か

(バングラデシュ)

ダッカ発

2024年03月05日

バングラデシュ中央銀行は2月29日、措置を6月30日まで延長したオフショアバンキングオペレーション(OB、注1)や輸入決済に係る規制緩和(2024年1月18日記事参照)について、固定資本財(キャピタルマシナリー)や産業用原材料の輸入取引、政府による輸入取引のさらなる円滑化を図るため、各市中銀行が規制で定められた資本金の40%相当額を上限に、当該銀行のOB向け資金を国内バンキングユニット(DBU)に保有することを可能としていたが、同上限を撤廃するとの規制緩和を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。

今回の措置の目的は、輸入の抑制措置を継続しつつ、DBUによる対外的な決済取引(必要な輸入決済など)を円滑に行うため、各商業銀行内の資金流動性をさらに高めることとしている。中銀・商業銀行いずれにとっても外貨繰りは依然として課題とみられる中、直近の外貨準備高(2月28日時点、IMF基準グロス値PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))は205億7,318万ドルと、直近1週間(201億9,619万ドル、同2月20日時点PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))で約3億7,700万ドル増加している(ネット値の残高は非公開)。この増加の背景には、2月15日に新たに導入した中銀と商業銀行間の通貨スワップ(注2)が功を奏しているとの見方が報じられている(「デーリー・スター」紙3月2日)。2024年に入り、外貨獲得の柱の輸出(2024年2月13日記事参照)と郷里送金が堅調なことも踏まえ、外貨繰りに係る緊張は和らいでいくだろうとの楽観的な見方もある中、関連の政策動向が引き続き注目される。

(注1)商取引上、国内にあっても外国と見なされる輸出加工区(EPZ)、経済特区(EZ)、ハイテクパークの入居企業や、国外に滞在するバングラデシュ人などを主な対象とした外貨による銀行取引の制度の1つ。

(注2)中銀と商業銀行の間で、現地通貨タカとドルを所定の条件の下で融通し合う(スワップ)取引制度。例えば、商業銀行は最短7日~最長90日の間、所定の金利に基づいて中銀に対しドルを融通することが可能とされ、中銀は実際に当該取引によって、12の商業銀行から総計4億ドルを手配したとの報道もみられる(「デーリー・スター」紙3月2日)。

(山田和則)

(バングラデシュ)

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