輸入決済に係る規制緩和を延長、各銀行内の外貨繰り向上へ

(バングラデシュ)

ダッカ発

2024年01月18日

バングラデシュ中央銀行は12月28日、オフショアバンキングオペレーション(OB、注)や輸入決済に係る2023年12月31日までの規制緩和(2023年4月14日記事参照)について、6月30日まで延長すると発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。

中銀は2022年7月、固定資本財(キャピタルマシナリー)や産業用原材料の輸入取引、政府による輸入取引を円滑に行うため、各市中銀行が規制で定められた資本金の25%相当額を上限に、当該銀行のOB向け資金を国内バンキングユニット(DBU)に保有することを可能にすると規制を緩和し、その後、同保有額の上限を資本金の40%相当額まで引き上げていた。

今回の措置延長の目的は、DBUによる対外的な決済取引(輸入決済など)に柔軟性を持たせるためだ。バングラデシュでは、外貨流出防止を目的とした輸入抑制策(2022年7月19日記事参照)が継続され、政府や商業銀行の外貨繰りの課題が残る中、中銀の直近の「主要経済指標(11月版)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」によると、現行の2023/2024年度(2023年7月~2024年6月)7~11月の産業用の原材料輸入向け信用状(L/C)の開設額、決済額はそれぞれ前年同期比11.6%減、33.6%減となり、繊維機械など固定資本財のL/C決済額は、主要品目別で最大の減少幅(35.9%減)となっている。

当地での輸入決済の基本形式であるL/C決済は、日系企業に限らず、地場企業にとっても困難なケースが多いとみられ、政府は輸入の抑制と同時に、必要な取引の決済を確実に行うため、各銀行内の資金流動性を高めることを意図しているとみられる。

(注)商取引上、国内にあっても外国と見なされる輸出加工区(EPZ)、経済特区(EZ)、ハイテクパークの入居企業や、国外に滞在するバングラデシュ人などを主な対象とした、外貨による銀行取引の制度の1つ。

(山田和則)

(バングラデシュ)

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