神奈川発スタートアップのカマン、リユース容器のシェアリングで東南アジアのごみ削減目指す

(神奈川、シンガポール)

横浜発

2024年03月05日

カマン(本社:神奈川県鎌倉市)は、リユース容器のシェアリングサービス(Megloo)を通して、地球規模のごみ問題解決を目指している。1月25~27日、ジェトロが主催するクリーンテック・シンガポールミッション(2024年2月16日記事参照)に参加し、シンガポールや周辺諸国でのビジネス展開の可能性について調査を行った。

写真 シンガポールでピッチする善積CEO(主催者撮影)

シンガポールでピッチする善積CEO(主催者撮影)

写真 Megloo(カマン提供)

Megloo(カマン提供)

2020年創業の同社は、循環型社会の構築を目指し、リユース容器のシェアリングサービスを通して、テイクアウト用使い捨て容器の削減に取り組んでいる。繰り返し使える容器は製造や輸送、洗浄を考慮しても、紙製の使い捨て容器と比較して廃棄物を87%、二酸化炭素(CO2)排出量を90%削減することができるという。さらに、アプリを使った管理システムにより、従来のシェアリングサービスで課題とされていた容器の返却率を99%以上に引き上げることに成功した。

学生時代から地球環境問題への関心が高かったという善積真吾最高経営責任者(CEO)は複数の海外居住経験があり、日系大手電機メーカー勤務時には商品の世界販売を行ってきたことから、「主戦場は海外」と強調した。シンガポールでの調査を決めた理由は、循環型経済は欧州で先行している一方で、アジアは外食文化が根付き、プラスチック容器がよく消費されるなど、解決すべき課題が存在すると考えたからだ。シンガポールでのミッション後、善積CEOは、消費者のリサイクル意識喚起が課題と感じながらも、現地の屋台でプラスチック容器や包装が大量に消費されている点や、東南アジアのトレンド発信地としての特徴を踏まえ、概念実証(PoC)の実施場所としてシンガポールに魅力を感じたという。

シンガポールの大規模イベントでのPoCに意欲

日本では飲食店やキッチンカーに加え、スポーツイベントなどへの導入実績も豊富で、シンガポールでも2025年度中に大規模イベントでのPoC実施を目指しており、現地のイベントオーガナイザーやスポーツチームとの連携を模索中だ。善積CEOはジェトロのインタビューに対し、「2026年度中までに海外で継続的にPoCを実施し、2027年度中に本格的な海外展開を目指す」と抱負を語った。

(芥川晴香)

(神奈川、シンガポール)

ビジネス短信 6f8716c18f890326