水処理技術・製品博覧会、チェンナイで開催

(インド)

チェンナイ発

2024年03月19日

インド南部タミル・ナドゥ州チェンナイで2月28日から3月1日まで、水処理技術・製品博覧会「ウオーター・エクスポ2024」が開催された。地場民間イベント企画会社のウオーター・トゥデー社が国内の工業廃水や生活排水処理、飲料水浄化、河川水質改良などの最新技術の紹介と検査装置や製品共有のコラボレーションを通じて、環境関連ビジネスを推進することを目的に主催した。

17 回目となった今回の出展社数は154社。そのうちの80%は水処理関連企業で、会場には水浄化装置のパイロットモデル、水質改善のためのpH調整剤や高密度不織布フィルターなどの関連製品などの実物が展示された。フィルター製品の多くは日系企業が製造した素材が使われており、浄化技術も日本企業の技術を適応したプラントとしてアピールする出展企業が多くみられた。各出展社のブース内では、来場者が熱心に出展担当者と商談を行っていた。

写真 ウオーター・エクスポ2024の会場風景(ジェトロ撮影)

ウオーター・エクスポ2024の会場風景(ジェトロ撮影)

チェンナイ近郊には大きな港が3つあり、輸出を志向する製造業の進出に適しているため、州政府も製造業誘致に力を入れている。インドには基準値を超えた汚染物質を排水することを禁じるゼロ排水規制(ZLD: Zero Liquid Discharge)があり、製造過程の工業用水は外部への排出が認められず、自社工場敷地内でのリサイクル処理が必要となる。このため、環境にやさしく効率の良い設備が求められている。

チェンナイ近郊は地理的になだらかな地形が多く、河川の流れも遅く滞留している場所も多い。そのため、滞留水域では、富栄養化による水質変化が課題を引き起こしていることから、悪臭を放つケースが散見される。河川水質を管理していくことは水質管理上重要な課題で、日本企業がインド工科大学マドラス校と連携した水処理研究も進められている(2022年9月29日記事参照)。インド政府は、衛生環境改善を目的とした「クリーン・インディア」をスローガンに掲げ、「自立したインド」実現を目指している。この一環として水環境を整備するため、水処理をはじめとする技術開発、環境関連ビジネス拡大に向けて、同様の博覧会開催がインド国内はデリー(8月)で、国外ではスリランカのコロンボ(4月)でも計画されている。

(淺羽英樹)

(インド)

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