東レ、チェンナイに水処理研究拠点を開設

(インド、日本)

チェンナイ発

2022年09月29日

東レは913日、インド南部タミル・ナドゥ(TN)州チェンナイのインド工科大学マドラス校(IITM)の研究開発施設「IITM・リサーチパーク」に、水処理研究拠点を開設したと発表した(同社プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。この拠点では、同社の保有する水処理膜の技術を応用した研究・技術開発を行う予定だという(同研究拠点の研究員、小林敦氏への取材日:920日)。

東レの保有する水処理膜の技術は、海水淡水化などに用いる逆浸透膜や、飲料水や工業用水として使用するために河川や湖の水などを処理する際の限外ろ過膜、下廃水処理に用いるメンブレンバイオリアクター(MBR)膜に強みを持つ。同社の事業は国際協力機構(JICA)の民間連携事業に採択されており、家庭が排出する下水を工業用水や生活用水として再利用する水処理膜システムの実証実験が行われる予定だ。同社は今後、逆浸透膜や限外ろ過膜MBR膜、活性汚泥法(注)などを用いたシステムを下水処理場向けに提案することを検討している。

東レがIITMと連携して取り組むことで、IITM内の下水処理場に試験設備を設置できる予定だ。また、廃水処理を専門とするIITMの教授と提携し、現地の知見やノウハウ、人脈も得られるという。

東レは、インド各地に配置した営業担当者が顧客への提案の際に、同研究拠点でろ過の方法を検討した結果を活用することで、よりよい提案ができるようになるとともに、インドの水質の知見の蓄積にも役立つとしている。現在は、日本人研究員1人の体制だが、今後インド人研究員を採用し、体制を拡充していくという。

写真 IITM・リサーチパークの外観(東レ提供)

IITM・リサーチパークの外観(東レ提供)

(注)活性汚泥法とは、微生物を活用した、廃水・汚水の浄化手段。

(浜崎翔太)

(インド、日本)

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