国連の委員会、カンボジアのLDC卒業を勧告、2029年に卒業の見通し

(カンボジア)

プノンペン発

2024年03月25日

国連開発政策委員会(CDP)は3月4日から8日にかけて実施した後発開発途上国(LDC)リストの3年に1度の見直しで、カンボジアのLDCからの「卒業」を勧告した。また、LDC卒業に向けた準備期間については、通常の3年から延長し、5年が必要だとした。従って、カンボジアのLDC卒業は、2024年を起点として5年の準備期間を経た2029年となる見通しだ。

LDCは、国民総所得(GNI)など経済や社会に関する指標の基準を満たした場合に認定される。2023年12月時点で45カ国がLDCに認定されており、ASEANではカンボジアのほか、ラオス(注)とミャンマーが該当する。LDC卒業は複数年にわたるプロセスで構成され、CDPによる3年ごとの審査で卒業基準を満たした時点から正式に開始する。本審査で2回連続で卒業基準を満たすと、通常は同年中にCDPによるLDC卒業勧告が行われ、国連経済社会理事会(ECOSOC)の承認を経て、国連総会でLDC卒業が決議される。カンボジアは2021年に続いて2024年の審査でもLDC卒業基準を満たしたため、今回のLDC卒業勧告に至った。国連総会の決議から卒業までには準備期間が設けられており、この期間はLDCのステータスが維持される。カンボジアに対しては、CDPにより5年の準備期間が必要だと判断された。

LDCを原産地とする産品には「特別特恵関税」が適用されるため、LDCからの輸入ではほぼ全ての品目に無税措置が与えられている。カンボジアがLDCから卒業すると、この「特別特恵関税」の適用がなくなり、関税の無税措置を受けられなくなることが懸念される。ただし、LDCに特化した措置の廃止タイミングは、輸入国側の判断により異なる。例えば、EUでは、LDC卒業後3年間は移行期間として、関税の無税措置の廃止を猶予することを認めている。

(注)CDPは2021年、ラオスにLDCからの「卒業」を勧告した。

(藤田奈緒)

(カンボジア)

ビジネス短信 606de1ec27928704