中国民政部長、高齢化対策に係る今後の政府方針に言及

(中国)

大連発

2024年03月19日

中国の第14期全国人民代表大会(全人代、国会に相当)第2回会議に出席した民政部の陸治原部長は3月8日の記者会見で、高齢化対策に係る今後の政府方針について、次のとおり発言した。

2023年末時点の65歳以上の人口は2億1,700万人で、高齢化率(注1)は15.4%だった。中国の高齢化の特徴として、高齢者の人口規模が大きく、高齢化のスピードも速く、政府の果たすべき責務が重いとした。こうした現状を踏まえて、今後は次の3つの体制整備に重点的に取り組むと述べた。

  1. 社会保障体制(財源の確保)
  2. 高齢者向けサービス体制(サービスを提供する主体やサービス内容の整理)
  3. 高齢者向け健康サポート体制(医療やリハビリサービスの整備)

高齢者向けサービスは民政部門の重要な職責とし、今後も継続的に在宅サービス、社区(コミュニティー)サービス、施設サービスの調和が取れた発展を図るとした。在宅サービスでは、バリアフリーの対応、見守りサービス、食事介助、介護施設による在宅サービスなどを促進する。社区サービスでは、都市部と農村部の地域密着型の高齢者ケアサービス拠点(レクリエーション施設や食堂など)を拡充していく。施設サービスでは、低所得層など政府がケアすべき高齢者向けサービスを充実させると同時に、幅広い高齢者に寄与する「普恵」サービス(注2)と関連施設を大きく発展させ、かつ、社会資本の導入を通じて、高齢者の多様なニーズに応えていくとした。

今後はこれらの方針に基づいた具体的な指針や実行策が発表される見込みで、ヘルスケア分野の政策動向が注目される。

(注1)人口のうち65歳以上が占める比率。

(注2)「普恵」サービスとは、誰もが普遍的に利用可能な価格帯で品質が保証できるサービスを指す。

(呉冬梅)

(中国)

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