タイ商務省、日本アセアンセンターやジェトロとFTA活用ワークショップ開催

(タイ、日本)

バンコク発

2024年03月14日

タイ商務省貿易交渉局(DTN)は35日、タイと日本の中小企業の自由貿易協定(FTA)活用に向けたワークショップを国際機関日本アセアンセンター、ジェトロとバンコク市内で開催した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。地場企業や日系企業から約90人のビジネス関係者が参加した。両国が締結する日タイ経済連携協定(JTEPA)、日ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の活用に向け、タイ商務省の担当官や日本の専門家がFTAの活用状況や活用方法の概要、タイの原産地証明書(C/O)発給手続き、原産地規則、原産性判定について解説した。当日の説明内容については、同省のフェイスブック外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから録画を無料視聴することができる。

写真 バンコク市内で開催されたFTA活用ワークショップ(ジェトロ撮影)

バンコク市内で開催されたFTA活用ワークショップ(ジェトロ撮影)

ナピントーン・シーサッパーン商務副大臣は冒頭、3つの貿易協定(JTEPAAJCEPRCEP)の活用に当たって、特恵関税の恩恵を享受するための申請の基準や原産地証明書(C/O)発給手続きの詳細な情報を提供する重要性を強調した。実際、日系企業や地場企業を問わず、人的リソースが限られる中小企業の間では、FTAに関連する手続きやルールがよく分からないため、FTAを十分に利用できていないケースが多い。DTNを所管するナピントーン副大臣は「FTAの効率的活用は最終的に国の成長につながる。タイ商務省は『中小零細企業(MSME)』のFTA活用をさらに向上させる方針だ。FTAのメリット、ステップごとの手続きについて認知を広めるよう、DTNに指示している」と述べた。

写真 FTA活用の重要性を述べるナピントーン商務副大臣(タイ商務省提供)

FTA活用の重要性を述べるナピントーン商務副大臣(タイ商務省提供)

ジェトロ・バンコク事務所の黒田淳一郎所長は、在タイ日系企業の間では、タイ新政権の目玉政策の中で特にFTA拡大への期待が高いことを指摘した。ジェトロ調査によると、在タイ進出日系企業の7割以上が輸出活動を行っており、「東南アジアでの生産拠点の設置・拡大を考える上で、投資先国がどの程度FTAを締結しているかは重要な要素だ」と述べた。同所長は、タイ政府が目指す2027年にFTAカバー率(全貿易額に占めるEPA/FTA署名・発効済み国との貿易額の割合)を80%に引き上げるという目標の達成に期待を示した。

写真 ジェトロ・バンコク事務所の黒田所長(タイ商務省提供)

ジェトロ・バンコク事務所の黒田所長(タイ商務省提供)

会場では、参加者からタイ・EU FTA交渉の最新状況などについても質問があった。DTNの担当官は、既に2回の交渉を実施しており、もし企業側から同協定にかかる意見や要望があれば同局に連絡し、輸出を期待する品目や原産地規則などについて相談することも可能と回答した。また、既存のFTAの利用手続きで困った点があれば、タイ商務省に問い合わせができるほか、在タイ日系企業で日本語での相談を希望する場合はバンコクのジェトロでも対応が可能だ。

写真 タイ商務省の担当官や日本からFTA専門家が登壇(タイ商務省提供)

タイ商務省の担当官や日本からFTA専門家が登壇(タイ商務省提供)

(北見創、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ、日本)

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