経済活動は控えめに増加、消費需要は小幅増加を見込む、米シカゴ連銀ベージュブック

(米国)

シカゴ発

2024年03月13日

米国連邦準備制度理事会(FRB)が3月6日に公表した地区連銀経済報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(ベージュブック、注1)の中で、米国中西部の一部地域(注2)を管轄するシカゴ連銀は、1月から2月前半にかけての同地域の経済活動について、全体的に控えめに(modestly)増加したと報告した。関係者は引き続き、今後1年間の消費需要は小幅に増加すると予想している。

同地域の経済活動を分野ごとにみると、雇用は控えめに(modestly)増加した。関係者が今後1年間も同程度の増加率を予想した一方、求人広告の削除や人員削減など多くの関係者が労働市場の冷え込みを指摘した。

個人消費は報告期間中、全体的にわずかに(slightly)減少した。関係者は、1月の季節外れの寒さにより売り上げが減少し、2月前半で回復するもそれ以前の落ち込みを相殺するには不十分だったと指摘した。

企業支出は全体的にわずかに(slightly)増加した。設備投資はわずかに増加し、既存の建造物の改築や拡張が目立ったが、一方で高金利、売上高の伸びの鈍化、あるいはその両方を理由に投資を控えているとの報告もあった。

製造業の需要は全体的に横ばい(flat)となった。鉄鋼需要は、全米自動車労働組合(UAW)のストライキ後の自動車生産の回復も一因となり、わずかに増加した。工業用ビル向けの鉄鋼受注は引き続き好調だった。

同地区での2024年の農家所得の見込みは、畜産生産者の見通しが改善したにもかかわらず引き続き悪化した。トウモロコシの価格は、需要の低迷と2023年の大豊作が在庫を増加させたため、再び下落した。

地域社会の状況について、地域開発団体と行政機関は、経済活動が控えめに増加した(modest increase)と報告した。州政府関係者は、引き続き税収が健全に伸び、失業保険の需要は低かったとみている。一方で、中小企業の支援要請内容が新規事業から既存事業へシフトする、運転資金融資の需要が増加するなど、中小企業の見通しの悪化の兆しがみられた。

個々の調査対象項目ごとの詳細は添付資料参照。

(注1)連邦公開市場委員会(FOMC)の開催に先立ち、年8回公表されており、銀行からの報告や、ビジネス関係者などの声を基にまとめたもの。

(注2)アイオワ、イリノイ北部、インディアナ北部、ウィスコンシン南部、ミシガン南部。

(星野香織)

(米国)

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