2月の人員削減数は8万4,638件、テクノロジー・金融分野以外にも広がる

(米国)

ニューヨーク発

2024年03月08日

米国再就職支援会社のチャレンジャー・グレイ&クリスマス社は3月7日、2月のジョブカット(人員削減)レポートを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。それによると、2月単月の米国内の人員削減は8万4,638件で、前月比3%増、前年同月比では9%増だった。2月単月では2009年以来の最高値で、1月と2月を合わせた削減数でも、2023年(18万713件)を除いて、同様に2009年以来最高値となった。他方、採用計画は2月単月で1万317件、1月と2月を合わせた数値では1万5,693件で、2009年以来の最低値だった。2月の米サプライマネジメント協会(ISM)景況感指数(2024年3月7日記事参照)では、製造業・非製造業ともに、雇用が軟調な状況を報告しており、これと整合的なかたちとなっている。

業種別に見ると、テクノロジー部門が1月と2月の合計で2万8,218件の人員削減で、前年同期比で55%減と大幅に減少しているものの、業種別で最大の削減数となった。次いで金融部門(2万6,856件、56%増)、運輸部門(1万4,148件、6.9倍)、食品製造部門(9,824件、4.6倍)、工業製品製造部門(7,806件、18.5倍)、教育部門(6,336件、10倍)、エネルギー部門(4,486件、11倍)となっており、2023年よりも人員削減を積極的に進める業種が広がった。

人員削減理由は、業務再編が3万7,659件、店舗・部門・工場閉鎖によるものが2万6,272件、コスト削減が2万890件となっている。また、企業の削減のうち1万9,580件が経済と市場の状況によるものと回答している。なお、人工知能(AI)導入自体は383件にすぎないものの、ロボット工学や自動化も加えた新しい技術の導入による人員削減数は1万5,225件に上っている。こうした自動化の動きは労働生産性の向上にもつながっており、米労働省が発表している労働生産性外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも、高い伸びを示している。

今回の結果について、チャレンジャー・グレイ&クリスマス社の上級副社長のアンドリュー・チャレンジャー氏は「2024年初めにかけて、継続的な解雇の波を目の当たりにしている。企業は積極的にコストを削減し、技術革新を取り入れており、人員配置のニーズを大きく変えている」と述べた。

(加藤翔一)

(米国)

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