パラグアイビジネスセミナー、外相や進出日系企業が投資メリット強調
(パラグアイ、日本)
調査部米州課
2024年03月13日
ジェトロは3月11日、在日パラグアイ大使館、米州開発銀行(IDB)と共催で、パラグアイビジネスセミナーを開催した。パラグアイからルベン・ダリオ・ラミレス・レスカノ外相、ロドリゴ・マルフ・ディアス・デ・エスパダ商工副大臣兼商工省投資輸出促進局長が出席した。
ラミレス・レスカノ外相は冒頭の基調講演で、パラグアイに投資する理由として、安定したマクロ経済や、ブラジルなど南米消費市場に隣接する立地の優位性、クリーンなエネルギーなどを挙げた。パラグアイのマクロ経済について、ここ数年の金融政策が功を奏し、高インフレに苦しむ他の中南米各国と比べて、インフレ率が低く推移していることや、80年前から現地通貨グアラニーの切り下げを行っておらず、通貨が安定していると説明した。外国からの投資についても、マキラドーラ制度を例に挙げ、パラグアイでの生産活動に課税を抑える仕組みを設けていることを強調した。立地の優位性に関しては「パラグアイはメルコスールの中心に位置し、半径300キロ以内にEUの消費者と同等の消費レベルを有する5,000万人の消費者にアクセスできる」と強調した。また、同国ではイタイプダムをはじめとする水力発電が盛んで、クリーンなエネルギーを利用した発電が約80%を占めており、進出企業は製造過程でグリーンなエネルギーを活用できる点も魅力の1つとして挙げた。
パラグアイでビジネスを展開している企業事例として、トヨタ自動車の総販売代理店などを手掛けるトヨトシ・グループからパラグアイ・カナダ支社長のマリオ・トヨトシ氏と、現地でコンクリートの補強繊維「バルチップ」を製造、販売する萩原工業の経営企画室長の髙宮氏が登壇した。
トヨトシ・グループのマリオ・トヨトシ氏は、パラグアイの優位性について現地の労働力を挙げ、「文化的な整合性から、日本の文化や価値観を理解し尊重することができ、信頼関係を築くことができる」と評価した。
萩原工業の髙宮氏は、コスト上の理由からブラジル企業が周辺国に製造拠点を移す、いわゆる「ブラジル・プラスワン」の動きを例に出し、パラグアイ進出の利点として「メルコスールという巨大な市場で域内関税を適用できる」と説明した。また「日本語が堪能な質の高い日系人の存在や、水力発電の利用でCO2(二酸化炭素)排出量を実質ゼロに抑えられる点も魅力だ。さらに、新技術の導入や官民連携に積極的な姿勢も評価できる」と述べた。
(小西健友)
(パラグアイ、日本)
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