全人代の香港政策は経済発展に焦点、大湾区の発展に向けた香港の役割を期待
(香港、中国)
香港発
2024年03月11日
中国の第14期全国人民代表大会(全人代)第2回会議が3月5日に開幕した(2024年3月6日記事参照、3月7日記事参照)。香港特別行政区(以下、香港)政府から李家超(ジョン・リー)行政長官が出席した。
3月5日に、李強首相は政府活動報告で香港政策について、「『一国二制度』『香港住民による香港統治』、高度な自治という方針を引き続き全面的かつ正確に、揺るぐことなく貫徹する。法に基づく香港統治を堅持し、『愛国者による香港統治』の原則を実施する」としており、この点は2023年から変化はなかった。李首相はまた、2024年の政府活動報告において「広東・香港・マカオグレーターベイエリア(粤港澳大湾区)など経済発展で優位にある地域が、質の高い発展の原動力としての役割を果たせるよう支援する」と言及。香港政府に対して香港の強みを発揮し、中国の発展と統合に向けて積極的に役割を果たすよう求めた(「サウスチャイナ・モーニングポスト」3月6日)。
全国香港マカオ研究会の劉兆佳(ラウ・シウカイ)氏は、中国政府の香港政策は政治情勢よりも経済発展に焦点を当てていることを示唆した。また、今後の重要な点として、「より多くの資源や資本を投入し、粤港澳大湾区の全体的な開発計画を統合することが重要。香港政府は、国家の安全を脅かす敵対勢力に対する警戒をしつつ安定を強固にすべき」との見方を示した(「サウスチャイナ・モーニングポスト」3月6日)。
李行政長官は、3月5日に北京で行われたメディア会見において、「2024年は中国建国75周年にあたり、第14次5カ年規画の目標と達成のための重要な年だ」とし、「李首相が言及した香港政策に沿って経済発展と国民生活の向上に尽力する」と述べた。
また、李行政長官は同5日、中国財政部の蓝佛安部長と相互アクセスや監査協力など中国本土と香港の金融協力について議論したことを明らかにした。李行政長官は会談の中で、「中国本土の地方政府が香港においてオフショア人民元建て債券やグリーンボンドを発行することを引き続き促進・奨励する」と述べた。
(松浦広子)
(香港、中国)
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