中国新エネ車市場動向セミナーを開催、海外で存在感増す中国系ブランドメーカーの戦略を解説

(中国)

上海発

2024年03月18日

ジェトロは3月7日、「中国新エネルギー車市場動向セミナー」を上海で開催した。世界最大の新エネルギー車(NEV)市場である中国において、NEV化やスマート化などの市場変化や中国系ブランドメーカーの取り組み状況について、3人の講師を招き、解説した。

オートモビリティ・リミテッド創始者兼最高経営責任者(CEO)で上海米国商会自動車委員会委員長のビル・ルッソ氏は、2017年をピークに2023年までの6年間で、中国の自動車市場はガソリン車が1,100万台減少し、新エネルギー車が830万台まで拡大したと市場変化を解説したうえで、中国国内の過剰生産能力などを背景に、輸出が大きく拡大したと述べた。また、中国市場で行われている外資系ブランドメーカーと中国系ブランドメーカーとの競争がオーストラリア、フィリピン、タイといった第三国でも開始されているという現状を話した。今後、外資系ブランドメーカーの対応方針として、世界の自動車市場において、中国系ブランドメーカーとの競合は避けられないものになるとし、この中国市場での競争が世界での競争を優位に進めるために必要ということや、中国系ブランドメーカーと協業していくことの必要性を指摘した。

野村総研(上海)張翼総経理は、中国の自動運転産業政策のトレンドと企業の取り組み状況について紹介した。中国の自動運転はスマートシティやスマートエネルギーなどの社会実装軸との連携が重視されたものになっているとした。また、華為技術(ファーウェイ)や百度(BAIDU)などの中国系企業および外資系ブランドメーカーの自動運転技術への取り組みや中国での実証実験が加速していることなどを解説した。

哪吒汽車(Neta)調達センターの方暁鯤総経理は、中国自動車市場の厳しい競争状況と哪吒汽車のタイへの進出状況について解説した。2023年、哪吒汽車のタイ国内における販売台数はBYDに次ぐ1万2,777台で2位だったとし、2024年第1四半期に同国でノックダウン方式の工場の量産を開始する予定とした。そのほか、タイ政府の補助金優遇策の対象となるために、現地調達比率を40%まで引き上げたとした。今後、現地調達率を上げるために、日系企業との協業も模索したいが、判断スピードやコスト高などの課題があることを指摘した。

(神野可奈子)

(中国)

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