英中銀、金利5.25%に据え置き、インフレ率低下も利下げへの慎重な姿勢変わらず

(英国)

ロンドン発

2024年03月22日

英国イングランド銀行(BOE、中央銀行)は3月21日、政策金利を5.25%に据え置くことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。前日まで開かれていた金融政策委員会(MPC)で決定。市場の予想どおり、2023年9月から5会合連続の据え置きとなった。

MPCでは、9人中8人の委員が据え置きを支持し、1人は0.25ポイント減少の5.00%を支持していた。利上げを支持する委員がいないのは2021年9月以来初めて。

BOEは、エネルギーや財の価格下落によりインフレ率は大幅に減少傾向であるものの、依然としてインフレの持続性を示す主な指標は高水準にあるとの見方を示した。労働市場については、緩み続けているが、過去の水準から見れば、比較的タイトなままと指摘した。一方、名目賃金の上昇は緩やかになってきており、BOEのエージェントによる聞き取り調査でも、コスト上昇分を価格に転嫁することがより難しくなっているとの報告があったとしている。なお、英国国家統計局(ONS)の3月20日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2月のインフレ率は3.4%で、2021年9月以来、約2年半ぶりの低水準となった。食品とレストラン・カフェが低下に寄与した。BOEは、インフレ率が2024年第2四半期(4~6月)に目標の2%を若干下回ると予想している。

報道によると、アンドリュー・ベイリー総裁は記者会見で「利下げをできる段階にはまだないが、物事は正しい方向に動いている」とコメント。その上で、インフレ率の低下は追い風であるものの、物価の上昇圧力が完全にコントロール可能との確証がさらに必要とした。

英国は2023年第4四半期(10~12月)には「テクニカル・リセッション(景気後退)」(注)入り(2024年2月19日記事参照)しているが、企業への景況感調査では引き続き改善が見られることから、BOEは2024年前半に再び景気拡大に向け成長すると予測している。

(注)GDPが2四半期連続でマイナス成長すること。

(松丸晴香)

(英国)

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