第4四半期のGDP成長率、前期比マイナス0.3%、景気後退入り

(英国)

ロンドン発

2024年02月19日

英国国家統計局(ONS)の2月15日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、英国の2023年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率は前期比マイナス0.3%だった(第1次速報値、添付資料表、図参照)。第3四半期(7~9月)のマイナス0.1%から2四半期連続でマイナス成長となったことから、「テクニカル・リセッション(景気後退)」(注)に突入したことになる。なお、2023年通年の成長率は0.1%と推定、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた2020年を除くと、金融危機の2009年以降で最も低い成長率となった。

需要項目別でみると、家計最終消費支出は前期比0.1%減と縮小。特に娯楽、輸送費への支出の減少がマイナスに寄与した。政府最終消費支出については、保健や教育に関する支出減から、0.3%減だった。

産業別にみると、サービス業が前期比0.2%減、製造業が0.9%減、建設業が1.3%減と、主要3部門の全てで減少した。3四半期連続の減少となったサービス業については、卸売・小売業の0.6%減が主に寄与しており、特に2023年12月の小売売上高は、新型コロナ禍での行動制限が実施されていた2021年1月以来最大の減少幅となった。また、クリスマス期間中の理美容業が例年に比べて特に低調だったことを受けたその他対個人サービスの3.4%減がマイナスに寄与した。製造業の0.9%減、機械・機器製造の7.0%減、ゴム・プラスチック製品およびその他非金属鉱物製品製造の4.7%減がマイナスに寄与した。

他国と比較すると、2023年通年の成長率では、米国の2.5%を大きく下回り、EUの0.5%成長よりも低くなっている。

今回の発表について、英国商業会議所(BCC)は「企業は既に直面する課題についてはっきりと認識しており、今回の発表は政府に対して警鐘をならすものになった」とコメント。政府に対して、3月6日に発表が予定される春季予算〔2024年度予算(2024年4月~2025年3月)〕で経済成長への明確な道筋を示す必要があるとした。

一方、英国調査会社キャピタル・エコノミクスは今回の景気後退入りに関して、穏やかなものになるとの見通しを示した一方、同日に行われた下院の補欠選挙(2024年2月19日記事参照)を踏まえると、保守党にとって打撃になるとした(「BBC」「ロイター」2月15日)。

(注)GDPが2四半期連続でマイナス成長すること。

(松丸晴香)

(英国)

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