バッテリーやヒートポンプなどの国内生産に税額控除を導入

(フランス)

パリ発

2024年03月22日

フランスの経済・財務・産業およびデジタル主権省は3月15日、「グリーン製造業支援投資税額控除制度(以下、C3IV)」が3月14日に施行されたと発表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。C3IVはフランスをグリーン製造業の世界的リーダーとすべく2023年10月に施行した「グリーン製造業法」に盛り込まれていた制度で(2023年10月30日記事参照)、欧州委員会による国家補助の承認PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を得て、今回施行された。

C3IVの導入により、エネルギー移行、脱炭素化に欠かせないバッテリー、風力発電、太陽光発電、ヒートポンプの4つの戦略部門の製品、部品、クリティカルマテリアル(重要原材料)の国内生産拡大に向けた投資プロジェクトを支援する。具体的には1社あたり1億5,000万ユーロを上限に、土地や建物、設備機械のほか、商標権、特許権などの無形固定資産の取得価額の20%の税額控除を認める。中小企業や特別支援地域に指定された地区への投資には控除額を上乗せして適用する。

税額控除の対象となる製品、部品、重要原材料の詳細は2024年3月11日付政令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(アレテ)により定められている。税額控除措置を申請する投資プロジェクトを実施する各部品メーカーや重要原材料メーカーは、売上高の50%以上が、同じ部門の下流工程の企業との取引で占められていることを証明する必要がある。

経済・財務・産業およびデジタル主権省はC3IVの導入により2030年までに総額230億ユーロの投資と4万人の雇用創出を期待する。すでに20件の申請があり、プロジェクトの投資額は合わせて18億ユーロに達している。

レゼコー紙の報道(3月15日付電子版)によれば、バッテリー部門の申請数が8件と最も多く、これにヒートポンプの6件、風力発電の5件が続く。太陽光発電パネルは1件だった。バッテリー製造では、北部オー・ド・フランス地域圏における中国系エンビジョンAESC、台湾プロロジウム・テクノロジー、フランス・ドイツのオートモーティブ・セルズ・カンパニー(ACC)、フランス・ベルコールによる4件のギガファクトリー建設プロジェクトが含まれる。

ヒートポンプ部門では、フランス・空調機製造アトランティックが国内3件目となるヒートポンプ製造工場の建設(投資額1億5,000万ユーロ)にC3IVの適用を申請している。

(山崎あき)

(フランス)

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