バイデン米政権、銃による死者数削減に向け銃器の安全な保管方法発表

(米国)

ニューヨーク発

2024年02月02日

米国のバイデン政権は1月25日、銃器の安全な保管方法を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2023年3月14日に発表した銃暴力の削減と安全な社会に向けた大統領令で、銃器の安全な保管方法の促進を拡大するよう閣僚に指示していた。

発表によると、米国では銃による暴力が子供の主要な死因となっていることから、バイデン政権は銃暴力を防ぐ包括的な措置を講じているとしている。

家庭などで安全に保管されていない銃器は、学校での銃乱射事件や青少年の自殺、故意的な発砲、銃器の盗難などと密接な関係があるとし、対策の1つとして、米国司法省が銃器の安全な保管方法や保管装置を紹介する手引きPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。バイデン政権下では、2023年9月に史上初の銃暴力防止室を設立するなど、銃規制に取り組んでいる(2023年11月1日記事参照)。

ジョンズホプキンズ大学の調査によると、2022年の銃器による死亡者は4万8,117人、平均で11分に1人が死亡する状況にある。ピュー・リサーチセンターの2023年の調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注1)では、全米の成人の約3割が個人的に銃を所有しているという。

銃問題への対策は、若い世代の有権者が重要視している課題の1つとなっている。マサチューセッツ州のタフト大学が2023年11月に18~30歳の有権者を対象に実施した調査では、最も関心を示している課題として、生活費や物価の上昇(53%)、生活費を賄える収入の仕事(28%)に続き、銃暴力防止への対策が環境問題と並んで26%だった。

銃問題に対しては、支持する党派によっても考え方に違いがみられる。米国のシンクタンク、データ・フォー・プログレスの1月の調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注2)では、「議会が銃暴力を防止し、銃器販売を制限する法案を可決できない場合、バイデン大統領が行政命令を出すことを支持するか」との質問に、全体の53%が「支持する」とした。他方、同じ質問の党派別の回答を見ると、民主党支持者で「支持する」との回答が87%、「支持しない」が9%に対し、共和党支持者では「支持する」が21%、「支持しない」が75%だった。

(注1)実施時期は2023年6月5~11日、対象者は全米の成人5,115人。

(注2)実施時期は1月13~14日、対象者は全米の投票予定者1,196人。

(吉田奈津絵)

(米国)

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