2023/2024年度上半期は経常黒字も、金融収支は赤字拡大

(バングラデシュ)

ダッカ発

2024年02月22日

バングラデシュ中央銀行は、2月15日に公表した「主要経済指標(2024年1月版)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)において、2023/2024年度上半期(2023年7~12月)の経常収支を19億2,700万ドルの黒字と発表した(添付資料表参照)。同国では前年度まで、輸入超過による貿易赤字のため経常収支は赤字構造となっていたところ、輸出の拡大(2024年2月13日記事参照)と輸入抑制(前年同期比19.8%減)により、貿易収支の赤字幅は大きく縮小して経常収支が黒字化した。ただし、「その他投資(ネット値、注1)」をはじめとする金融収支の赤字増加により経常黒字は大きく相殺され、国際収支全体は赤字で、前年同期と比較して27億8,100万ドル赤字が減少したものの、36億7,200万ドルの赤字になった。

経常収支の中の所得収支にある郷里送金は、正規ルートによる送金促進が引き続き注目される。政府が現金インセンティブ付与の継続、モバイル金融サービス(MFS)やインターネットバンキングの促進、従来は5,000ドルを超える送金時に必要だった証拠書類の提出制度の撤廃や、2 万ドル相当額を上限としたForm Cによる申告制度の廃止による手続きの簡素化を継続する中、海外出稼ぎ労働者の派遣者増も奏功、送金額は底堅く推移している(2024年1月16日記事参照)。

他方、金融収支の赤字増加は、外貨準備高(注2、添付資料表の参考数値)の減少に直結する。政府および商業銀行の外貨資金繰りや、輸入抑制による信用状(L/C)の開設および決済遅延が依然として課題である中、今回の発表によると、2023/2024年度上半期における産業用の原材料輸入向けL/Cの開設額、決済額はそれぞれ前年同期比10.2%減、31.2%減となり、また食品を中心とする消費財輸入のL/C開設額・決済額はいずれも20%を超える減少幅になった。

(注1)「直接投資」「ポートフォリオ投資(株式市場、債券市場への対内証券投資)」「金融派生商品」「外貨準備」のいずれにも該当しない金融取引が全て計上される。政府借款(政府の行なう国際的な長期資金の貸借)、銀行や企業による政府への貸付・借入金、預金の受け払い、貿易信用などが含まれる。

(注2) 外貨準備高(IMF基準:グロス値のみ公表)は、199億3,512万ドルとなっている(中央銀行2月14日現在PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。IMFが融資実行に伴う次回レビューで審査予定の2023年12月末の目標(同ネット値で設定)は177億8,400万ドルに下方修正されたものの、同目標に対して5,800万ドルの不足がみられたとの報道も一部みられるが(「デイリー・スター」紙2月16日)、政府は依然としてネット値を公開していない。

(山田和則)

(バングラデシュ)

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