スカイドライブ、インドで「空飛ぶクルマ」開発事業を加速

(インド、日本)

アーメダバード発

2024年02月08日

「空飛ぶクルマ」や物流ドローンなど、電動垂直離着陸機(eVTOL)を開発するスカイドライブ(本社:愛知県豊田市)と、インドのドローン関連技術開発新興企業マルット・ドローン(本社:テランガナ州ハイデラバード)は116日、提携の覚書を締結した。マルット・ドローンが130日に公表したもの。空飛ぶクルマによる航空輸送分野の発展に向けた事業開発と、事業機会の模索を行う。

現地メディアによると、マルット・ドローンはスカイドライブに対しインドでの事業展開に必要な潜在顧客の開拓や、許認可を行う政府関係ネットワークを確立するための重要な役割を果たすという(「エコノミック・タイムズ」117日)。

マルット・ドローンは、既にドローン用の無人航空機管制システム(UTM)を開発しており、eVTOLへの運用拡大を計画しているとされる。今回の提携により、スカイドライブが持つ、空飛ぶクルマに関する技術のインド市場への導入がスムーズになるとみられる。実現すれば、インドの短距離移動に大きな変革をもたらし、環境負荷軽減にも貢献する可能性があると期待されている。

スカイドライブは112日、サイエント(本社:ハイデラバード)とも空飛ぶクルマの開発に関する技術連携の覚書を締結している。インドのエンジニアリング会社との、初の技術連携となる。両社は、スカイドライブが現在開発中の空飛ぶクルマ「SKYDRIVESD-05型)」の製品開発やエンジニアリングサービス、製造、デジタルサービスなど、多岐にわたる協業を検討・推進することに合意した。第1段階として、空飛ぶクルマの技術的な整備マニュアルの作成に着手する。サイエントのカルティケヤン・ナタラジャンCEO(最高経営責任者)は「2030年までにアーバン・エア・モビリティ(UAM)業界は世界全体で約230億ドルのビジネスチャンスがある」と述べている。

また、スカイドライブは110日、スズキを引受先とした第三者割当増資を実施したと発表。機体開発および製造を加速するとしている。インド西部グジャラート(GJ)州で1月に開催された大規模投資誘致イベント「第10回バイブラント・グジャラート・グローバル・サミット(VGGS)」期間中に開催された展示会のモビリティーパビリオンにおいて、スカイドライブとスズキは共同出展を行った。

写真 VGGS展示会でのスカイドライブとスズキとの共同展示(ジェトロ撮影)

VGGS展示会でのスカイドライブとスズキとの共同展示(ジェトロ撮影)

スカイドライブは、VGGS会期中の1月11日には、GJ州科学技術省と空飛ぶクルマの社会実装を戦略的に推進するためのパートナーシップ契約を締結したことも明らかにしている。GJ州政府と官民一体となり、2027年をめどにSKYDRIVE(SD-05型)の社会実装を目指し、事業化調査を開始すると発表している。

(古川毅彦)

(インド、日本)

ビジネス短信 d513eb385695632a