価格統制など60措置を廃止、国家介入促す官僚的措置を排除

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2024年02月06日

アルゼンチン経済省商業庁は1月29日、決議第51/2024号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布し、国内商業に関連する60の決議や措置を廃止した。商業庁が廃止した一連の措置は「市民と商業の良好な関係を妨げ、国家の介入を促すものだった」とされており、「官僚的な一連の措置を排除し、より単純で透明性の高い国内商業を目指す」ことを目的としている。

今回廃止した主な措置は、保護主義的な政策を掲げた過去の政権が制定したさまざまな価格統制制度(「プレシオス・クイダードス」「プレシオス・マクシモス」「プレシオス・フストス」など)や、国内市場の保護を理由に製品価格を一方的に設定できる制度。そのほか、国内のスーパーマーケットが棚に陳列する商品に中小企業や地方企業が生産した商品を含めることを義務付けていた通称「ゴンドラ法」や、価格リストの提出、不足している商品の報告、平均値上げなどの報告義務を廃止した。また、国内市場で商品不足が発生しないよう、生産設備の稼働率の引き上げ義務も存在したが、これも廃止した。輸入に関しては、非自動輸入ライセンスの取得など、一連の手続きを定める措置も全て廃止した。廃止措置一覧は同決議付属書を参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

2023年12月10日に発足したハビエル・ミレイ政権は今回の発表のほかに、前政権が残した負の遺産を整理し、経済再建に向けて規制緩和などの大型改革に乗り出している。300項目以上の法改正を定めた必要緊急大統領令(通称「DNU」、2023年12月22日記事参照)に加えて、500項目以上の国家機能改革のオムニバス法案を議会に提出し、国会で現在審議が行われている。同法案には、野党や労働組合などが強く反発していることから、ルイス・カプート経済相は1月26日、所得税、総資産税、輸出税、年金制度改革、税モラトリアムなど一部の項目を同法案から削除すると発表した。法律をいったん成立させた後、州知事や議員らとあらためて交渉し、理解を得た上でこれらの改正を行うと説明した。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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