UAE経済省、知的財産の新イニシアチブを発表

(アラブ首長国連邦)

ドバイ発

2024年02月19日

アラブ首長国連邦(UAE)経済省は2024年2月7日、知的財産(IP)に関する11項目のイニシアチブを含む新たな方針外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを次のとおり発表した。

  1. イノベーション・ハブ:UAEの創案者に技術指導や特許登録支援をするオンライン・インキュベーター・プラットフォームを提供。
  2. 特許組織:2026年までに6,000件の特許登録達成を目標。
  3. 自国民審査官:知的財産分野の自国民審査官のスキルと競争力の強化の推進と民間企業での雇用育成奨励。
  4. イノベラボ:イノベーション・インキュベーターの能力強化と競争力支援に重点を置き、地方連邦や教育機関でのインキュベーターの有効性を評価。
  5. インスタブロック:ライブ配信での著作権侵害に関する苦情に即時対応。
  6. IPスポーツ:スポーツ分野での知財意識向上のため、登録商標の件数増加を目的。
  7. ワンデー商標:商標登録証を1営業日以内に発行するサービスを提供。
  8. IPプラットフォーム:知的財産権行使に関する政府部門のデータを接続、統合する包括デジタルプラットフォームを開発。
  9. 「Hayyakom」:2026年5月にUAEで開催予定の国際商標協会(INTA)総会で内容を公表予定。
  10. IPスクール:国内外の政府民間団体と連携し、学生のための知財に関する包括的な研修プログラムを開発。
  11. 仮想キャラクター「Aisha」: 知的財産への意識向上のため、仮想人格がイベントやメディアプラットフォームを通して公共活動へ従事。

UAE経済省は、知的財産に関する方針として、省全体の「戦略目標2023-2026外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます1項目として、「イノベーションと知的財産権におけるリーダーシップと競争力の達成」を掲げていたが、今回、多岐にわたる計画を示した。2023年には経済省内の知財部門を再編しており(2023年8月3日記事参照)、知財重視の体制にかじを切っていた。今回の方針で特筆すべきは、(3)自国民審査官の採用だ。これまで特許審査を韓国に完全に委託してきたUAEが、自国民の審査官育成に足を踏み出した。民間企業での兼業を積極的に認める点はユニークだ。関係省庁と連携して方針達成に取り組む。

本方針の発表会には、経済省のアブダッラー・ビン・トゥーク・アール・マッリー大臣、アブドラ・アル・サーレハ次官、知財セクターヘッドのアブデルラフマン・ハッサン・アルムアイ次官補のほか、関連政府・学術研究機関の代表者が出席した。アール・マッリー大臣は基調講演で、新方針は「知的財産権の包括的な保護の促進、特許権者および創案者が直面する侵害の削減、争議の解決、特許登録を希望する個人や機関に経済省が提供するサービスの開発という4つの主要テーマに基づく」と述べた。本方針により、海外市場への輸出、知財投資の誘致、技術移転を進め、経済成長や競争力向上につなげたいという。

(関景輔)

(アラブ首長国連邦)

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