2027年のカンボジアLDC卒業見込み、縫製関連業界団体の見解を聞く

(カンボジア)

プノンペン発

2024年02月26日

カンボジアは、後発開発途上国(LDC)からの卒業について国連による審査を受けており、2021年に続いて2024年も卒業基準を満たした場合、2027年のLDC卒業が見込まれている。LDC卒業となった場合、LDC諸国を原産とする商品の輸入に対して関税率を優遇する特恵関税率の適用除外となる。ジェトロは2024年2月12日、LDC卒業がカンボジアの縫製業に与えうる影響について、カンボジア縫製・製靴・旅行用鞄(かばん)協会(TAFTAC)にヒアリングを行った。

TAFTAC事務局長のケン・ルー氏は「日本向けの輸出であれば、経済連携協定(EPA)などが存在するが、EUや英国、カナダ向けは、EPAや自由貿易協定(FTA)を有しないため、カンボジア製品に対する税率が上がるなどの影響を受ける可能性がある。特に縫製品では、これら3カ国・地域への輸出が4割以上を占めるため、カンボジア政府としてはこれらの国・地域との間でEPA・FTA交渉を進めたい考えだ。その場合、EPA・FTAにおける繊維製品の品目別原産地規則として一般的な加工工程基準(原産地における、または原産地とEPA・FTA締約国間での2工程の加工、注)を満たす必要があるため、LDC卒業前に、追加で必要となる工程を担う企業をカンボジア国内に誘致すべく、カンボジア開発評議会(CDC)との調整を進める」とした。

TAFTACの会員企業は747社(2024年2月21日時点)。縫製業はカンボジアのGDPの11%を占める主要産業だ。一方、カンボジア国内で調達できる原材料や部品は限られていることから、在カンボジア日系企業の現地調達率は10%程度と低い。LDC卒業による影響を最小限に抑えるべく、今後、自国において複数の加工工程に対応できる産業基盤の形成に向けて準備を進めていく必要がある。

日本向け輸出は他の優遇税率活用で、影響は限定的か

カンボジアで製造する日系企業の多くは日本向けに製品を輸出しており、一般特恵関税制度(GSP)や日ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定を活用できる。LDC卒業後も、これらを活用して関税を減免できれば、影響は限定的とみられている。このことから、カンボジアで製造して輸出する企業は、将来予想されるLDC卒業を見越して、GSPまたは各協定の品目別原産地規則や、譲許表(関税撤廃・引き下げスケジュール)をあらかじめ確認し、対策を検討しておくことが望まれる。

(注)例えばAJCEPにおいて、衣類(HSコード第61類、第62類)では、輸出国内または締約国域内で「メリヤス編み・クロセ編み・織り」工程を経た上で、「産品の最終加工」工程の2工程を行うもの。

(藤田奈緒)

(カンボジア)

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