在台米国企業、台湾への投資に積極的な姿勢維持

(台湾、米国)

調査部中国北アジア課

2024年02月19日

台湾でビジネスを行う米国企業で構成する台湾米国商会は1月30日、台湾でのビジネス状況に関する「ビジネス・クライメート・サーベイ・レポート(Business Climate Survey Report)」の2024年版を発表した。2023年11~12月に会員企業223社(注1)に実施した調査を基にしたもの。

業績については、前年調査(注2)と比較して、若干の悪化が見られた。2023年の売上高が前年と比べて「顕著に増えた」(14%)との回答は、前年(19%)から5ポイント減った。また「ある程度増えた」(33%)は前年から3ポイント減った。一方で「ほぼ横ばい」(24%)と「顕著に減少した」(10%)はそれぞれ4ポイント増加した。「ある程度減少した」は19%で前年同様だった。

台湾経済の見通しについては、楽観的な回答が目立った。「今後3年間の台湾経済の成長をどれほど信じているか」については、「確信している」(19%)と「ある程度信じている」(66%)の合計が85%となった。なお、2024年の台湾の実質経済成長率予測について、台湾の行政院主計総処は3.35%(2023年11月28日発表)、民間シンクタンクの台湾経済研究院は3.15%(1月26日発表)としており、2023年の1.40%を上回るとしている。

2024年の台湾への投資見通しについては、「顕著に増やす」(10%)、「ある程度増やす」(31%)、「前年とほぼ同等」(51%)との回答が合わせて92%となり、引き続き積極的に投資を増加もしくは維持する姿勢がうかがえた。

地政学リスクに関する項目について、「2023年に自社のビジネスは台湾海峡の緊張による顕著な阻害は受けなかった」との回答が全体の59%だった。2024年の見通しについては、「台湾海峡の緊張により、阻害を受ける」は31%、「台湾海峡の緊張により、顕著な阻害を受けない」は30%、「わからない」は39%だった。台湾での投資拡大を妨げる要因では、最も多い回答は「地政学上の不確実性」で46%だったものの、前年の同項目への回答(66%)と比較すると、20ポイント低下しており、地政学上の不確実性の投資への影響を前年よりも限定的にとらえられていることがうかがえた。

台湾拠点を管轄する地域統括拠点(注3)の所在地で最も多かったのは「アジア太平洋地域(中国本土を除く)」で40%だった。次いで、中国本土(香港、マカオを含む)が31%、北米が19%、欧州が8%だった。

(注1)2024年版のレポートの調査期間は2023年11月20日~12月15日。調査対象会員企業数は444社、うち223社からの回答を得た。

(注2)2023年版のレポートの調査期間は2022年11月15日~12月16日。調査対象会員企業数は437社、うち214社からの回答を得た。

(注3)台湾を統括拠点としている企業を除く回答。

(藤原智生)

(台湾、米国)

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