第17代国王にジョホール州スルタンが即位

(マレーシア)

クアラルンプール発

2024年02月06日

マレーシアの元首の第17代国王(アゴン)として、ジョホール州のイブラヒム州王(スルタン)が1月31日に即位した。イブラヒム国王は1958年11月生まれの65才で、2010年にジョホール州のスルタンに即位。2023年10月27日に行われた各州スルタンによる統治会議で、第17代国王に選出されていた(統治会議プレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。前回、ジョホール州のスルタンが国王に即位したのは、1984年4月~1989年4月の第8代イスカンダル国王時で、イブラヒム国王はその子息に当たる。

イブラヒム国王は、複合企業ベルジャヤ・コーポレーション系の通信会社レッドトーン・インターナショナルや商業施設ベルジャヤ・タイムズスクエア、セブン-イレブン・マレーシア、ジョホール州の人工都市フォレストシティーなどに投資実績のある実業家でもある。

王宮(イスタナ・ネガラ)で同日行われた即位式では、アンワル・イブラヒム首相や閣僚、他州のスルタンなどが参列。新国王の称号は「マレーシア国王スルタン・イブラヒム陛下」(His Majesty Sultan Ibrahim King of Malaysia)に決定した。

マレーシアでは、9つの州(ネグリセンビラン州、セランゴール州、ペルリス州、トレンガヌ州、ケダ州、クランタン州、パハン州、ジョホール州、ペラ州)のスルタンが5年ごとに輪番制で即位する(歴代国王はマレーシア連邦議会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照)。立憲君主制を採用する世界43カ国でも、複数の統治者から輪番制で国王を選出するのはマレーシアのみ。マレーシア国王は内閣の助言に基づいて行政権を行使するほか、国会を通過した法律を裁可し、憲法で定められた職務を遂行する。

第16代のアブドゥラ前国王は2019年1月31日に即位し、1月30日に任期を満了した。即位期間中、首相は3度交代した。退位に際してアンワル首相は1月27日、「政情不安の長期化や新型コロナウイルスのパンデミック、景気低迷により、マレーシアは不確実性と危機に直面していた。しかし、アブドゥラ国王は政府と一体となり、国民中心のアプローチを通じて、いかなる状況でも平和と福祉を優先し、国王としての責任を完璧に果たされた」と功績を振り返った。2022年の第15回総選挙で政局が膠着(こうちゃく)状態に陥った際も(2022年11月25日記事参照)、国王の仲介が事態を打開した経緯があった。アブドゥラ前国王は「自身の能力の限り、誠心誠意責務を遂行してきた。悲しさ、喜び、感謝の入り混じった心情だ」と述べ、国民に継続的な結束を呼び掛けつつ、パハン州へ帰還した。

(吾郷伊都子、エスター頼敏寧)

(マレーシア)

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