2023年のGDP成長率は5.05%、輸出減速が影響

(インドネシア)

ジャカルタ発

2024年02月15日

インドネシア中央統計庁(BPS)は2月5日、2023年の実質GDP成長率を前年比5.05%と発表した。伸び率は2年連続で5%を超えたものの、前年の5.31%増からは鈍化した。消費や投資は堅調に推移したが、資源価格の高騰が一服したことによる輸出額の減少などが影響した。併せて、第4四半期(10~12月)のGDP成長率は、前年同期比5.04%増と発表した(添付資料図参照)。

支出別では、GDPの5割超を占める家計最終消費支出が4.82%増だったほか、政府支出が2.95%増、投資などを示す総固定資本形成は4.4%増と推移した。輸出入は2021年以降2桁増を続けていたものの、2023年の輸出は1.32%増、輸入は1.65%の減少に転じた。

業種別では、主要17業種全てが前年比プラスとなった。運輸・倉庫13.96%増、その他サービス10.52%増、宿泊施設・飲食10.01%増の順で成長率が高かった。また、製造業は2022年の4.89%増には至らなかったものの、4.64%の伸びを記録した。エディ・プリヨノ経済担当大統領副補佐官は、特に基礎金属産業と金属製品産業の下流化(注)を主な要因とし、継続して成長を続けていると述べた(「リプタン6」2月6日)。

国内を主要6地域に分けた地域別では、GDP全体の57.05%を占めるジャワ島(ジャカルタ特別州を含む)が4.96%成長した。その他、鉱業などが盛んなマルク・パプア島6.94%増、スラウェシ島6.37%増、新首都「ヌサンタラ」の開発が進むカリマンタン島で5.43%増だった。ジャカルタ首都特別州は4.96%増と、2022年の5.25%増から0.29ポイント減少した。

クレコ・コンサルティングのシニアエコノミストのラデン・パルデデ氏は「2022年は、コモディティー価格の高騰による輸出増加が経済成長を大幅に押し上げた。しかし、2023年にはパーム油、石炭、ニッケルなどのコモディティー価格が正常化し、インドネシアの輸出額にも影響を与えた」と指摘した(「CNBCインドネシア」2月6日)。

(注)川下分野への産業基盤の裾野拡大、産業全体の高付加価値化

(八木沼洋文)

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