グリーン水素製造に対する優遇措置を発表

(エジプト)

カイロ発

2024年02月07日

エジプト政府は1月27日、グリーン水素製造プロジェクトに対する優遇措置を定めた2024年法律2号を公布した。

優遇措置を適用するのは、公布から5年以内に契約されたグリーン水素製造と関連プロジェクトで、生産量の95%以上をグリーン水素製造に充てる場合、海水淡水化事業や再生可能エネルギー発電事業も対象となる。いずれの場合も、エジプト国内でのプロジェクト会社設立が適用条件だ。新規プロジェクトのほか、既存設備の容量拡大のための追加投資も対象に含む(商業運転開始から7年以内に契約が締結されることが条件)。

法律によると、優遇措置の主な内容は次のとおり。

  • 「グリーン水素奨励金」として現金投資奨励金を支給する。支給額は納税額の33%以上55%以下で、適用する料率は都度政令によって決定する。
  • 事業実施のために必要な機械設備、原材料、消耗品、輸送手段(乗用車を除く)について、付加価値税(注1)を免除する。
  • グリーン水素の輸出にかかる付加価値税を免除する(通常、フリーゾーン以外からの輸出について付加価値税は還付方式)。
  • プロジェクトに使用する不動産に課す税、プロジェクト会社に課す印紙税、登記費用、公証費用、プロジェクトに必要な輸入品(乗用車を除く)の関税を免除する(内閣の承認が必要)。

また、グリーン水素とその誘導体(注2)製造プロジェクトについては、次の優遇措置を併せて適用する。

  • プロジェクトに必要な機械設備、部品などの輸入に当たり、輸入業者登録簿への登録(輸出入手続き参照)が不要となる。
  • 契約締結から10年間、従業員総数の30%まで外国人従業員の雇用を許可する。
  • エジプトの港でのサービス利用料、エジプト当局に属する港湾・海上施設の利用料などを30%割引とする。
  • 工業用地の使用料を25%、港湾の倉庫用地の使用料を20%、それぞれ割引とする。

(注1)エジプトの付加価値税は14%。

(注2)誘導体:有機化学の用語の1つで、ある有機化合物を母体として考えたとき、母体の構造や性質を大幅に変えない程度の改変がなされた化合物のこと。水素の場合、メタノールやアンモニアなどが該当する。

(塩川裕子)

(エジプト)

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